19 友達だっていいじゃない!
「はぁ!?何言ってるの!私の事は何を言っても良いわ!けど…ルイスの事を悪く言うのは、許さないから。……ハリー、もう離して、暴れないわ。…こんな人と一緒に居たくない…もう部屋に戻るわ」
叫ぶように憤っていたソフィアだったが、途中から静かに呟くように吐き捨てると大きくため息をついた。
自分の言ったことを思い出し、少し罰の悪そうにするロンを一切見る事は無く、ソフィアは背中に怒りを滲ませながら足早に談話室から出て行った。
「…ロン、大丈夫?」
「…医務室に行ってくる」
「あー…僕も付き添おうか?」
「…いや、1人で行くよ…」
鼻を押さえて、何処か元気なく答えるロンは少し反省しているようにも思えた。
ハリーはロンを見送り、人知れずため息をついた。
ロンの事はかけがえのない友人だ、いつも一緒に居て楽しいし、気が合う。
しかし、ソフィアやルイスもまた、大切な友人だった。ルイスは寮を違えてからあまり話す事はなくなってしまったが、2人は初めて魔法界で出来た友人だった。
ホグワーツへ向かうコンパートメントで、不安になり心細さを感じていた自分を優しく励ましてくれた、あの時の安心感は一生涯忘れる事はないだろう。
出来れば2人には仲良くして欲しいと思っていたが、ソフィアとルイスがマルフォイの友達である限り、無理なのかもしれない。
「…はぁ…」
ハリーは何となく自室に戻る気分になれず、木曜日に来る飛行訓練に備えて何か本でも借りようかと図書室へ向かった。
図書室に来たのは初めてだったが、数万冊はあるだろう沢山の本が棚一面に収められ、その中から目当ての本を探すのはなかなかに難しかった。
「飛行術…飛行術……あった!」
「──あ」
ハリーはようやく飛行術に関する本を見つけそれを手に取ろうとしたが、同じ本を取ろうとした相手と手がぶつかってしまい慌てて手を引っ込める。
「ごめん!…あ…ルイス!」
「やあ!ハリー、こうやって話すのは久しぶりだね!」
図書室であまり大きな声で話すとすぐにイルマ司書に咎められてしまうため、ルイスは声を顰めながらも嬉しそうに笑った。
「ああ、うん、…久しぶり…」
ハリーは先程の談話室での事件を思い出し、何とも言えない気持ちになり、ついぎこちなく曖昧な笑顔を見せた。
「…?どうしたの?」
「あー…その。ロンとソフィアが喧嘩しちゃって…」
「へぇ?何でまた…」
「実は──」
ハリーは談話室で起こった事をぽつぽつと話した、本人に言うべきではなかったのかもしれないが、ハリーにはどうすれば良いのかわからなかった。
全てを聞いたルイスは困ったように笑い、少し言葉を選びながらゆっくり答えた。
「うーん…ロンとハリーはドラコの事が嫌いなんだね」
「まぁ…だって、何もしてないのに…嫌な事ばっかり言うし…」
「ドラコの悪い所だよね、それは僕も思うよ。…けど、ドラコにも、少しは良い所があるんだ、意外と情に熱くて、優しいし」
「ええ?……ほんとに?」
信じられないという怪訝な目をするハリーに、ルイスもこればかりは理解されないのも仕方がないと苦笑した。
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