24 色々あって疲れちゃったの!
昨日は一日色々な事がありすぎて、いつも元気なソフィアもやや疲れたように欠伸を噛み殺し眠たそうに目を擦った。朝食の時も、何故か食欲がわかずいつもなら二つは食べるケーキを一口も食べなかった。頭も、ぼんやりとして霞がかかっている気がする。
隣にいるルイスは「せめてスープだけでも飲んで?」とソフィアにミネストローネを勧めたが、それも、数口飲んだだけでやめてしまった。
「何だか疲れたわ…」
「そりゃあ、昨日は本当に走り回ったからね、誰かさんのせいで!可哀想な僕たち…」
棘のある言い方に、ドラコは無言でトーストを齧った。
昨夜夜遅くにスリザリン寮へ戻ったルイスは、すやすやと安眠を貪っているドラコを蹴り起こし、何があったか…どれだけフィルチから逃げるのかが大変だったかをドラコに伝えていた。勿論、最後に四階の禁じられた廊下に入ってしまった事は言わなかったが。
ドラコはハリー達は兎も角、ソフィアとルイスを巻き込んでしまった事に反省しているのか項垂れたままルイスのチクチクとした愚痴を聞いていた。
昨日の一件の夜更かしと、ハーマイオニーとの不仲──朝もハーマイオニーは1人で先に大広間へと向かっていった、近頃は必ず一緒に行っていたのに──そして過度なストレスで、ソフィア自身は気が付かなかったが、間違いなく体は不調をきたしていた。
魔法薬学の授業中であり、この後作る解毒剤の効能や作り方の手順、また使用する材料の説明が行われていた。
誰もが羊皮紙に向かいセブルスの淡々とした説明を一つも取りこぼさまいと必死に羽根ペンを走らせる中、ソフィアは自分の父親の低くて静かな抑揚の無い声と、羽根ペンが羊皮紙を滑るカリカリと言う音と、父親に抱きついた時に微かに香る複雑な魔法薬の匂いが満たされた空間に目を閉じ、そのまま机の上に突っ伏して眠ってしまった。
セブルスは教科書を開き、薬に使う材料の説明をしながら生徒の周りをゆっくりと回った。
誰も話す事は無く、緊張した面持ちで俯きながら書き留めていく。側を通る為に誰もが何か指摘されるのではないかと身体を硬らせた。
ルイスは隣にいるソフィアが眠ってしまった事に気付き、肘で身体を小突きなんとかセブルスに気付かれる前に起こそうとしたが、それよりも先にソフィアが眠りこけている事にセブルスは気付き、説明していた言葉を不自然に止めた。
生徒達は言葉が途切れた事にそっと顔をあげ、怖々とセブルスを見る。
その先に机に臥せて寝ているソフィアを見て、皆が唖然とした。
こんな緊張感があり、それも、あのセブルス・スネイプの授業だと言うのに、どれほど神経が図太ければ眠れるのだろうか。
セブルスは持っていた分厚い教科書を閉じると、無言でソフィアの後ろに回り、すやすやと寝息を立てている姿を見下ろした。
ルイスはもう全てが手遅れだと察し、これからソフィアの身に起こる事を見たくないと言うように目を背けた。
ソフィアの頭上に掲げた分厚い教科書を、セブルスは何の躊躇いもなく振り下ろした。
「──痛っ!?」
ソフィアはびくりと身体を震わせ小さく叫びながら飛び起きた。頭を抑えその目には薄らと涙が滲む。頭を痛そうに抑えたまま後ろを振り返り、そばに立つ人を見上げ、固まった。
「──どうやら、我輩の授業は眠気を誘うほどつまらなく、退屈なものらしい」
[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/4
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク