25 待ちに待った個人授業!
セブルスの自室で休んだソフィアの体調は薬のおかげですっかり良くなっていた。
まだ頭を悩ます事は数多くあるが、とりあえず今は個人授業のことを考えよう。ソフィアは色々な問題に蓋をしマクゴナガルが待つ彼女の研究室へと向かった。
「マクゴナガル先生!」
「ミス・プリンス、待っていましたよ」
マクゴナガルは優しい眼差しでソフィアを迎え入れる。
ソフィアは昨日こっそり抜け出し、数々の規則違反をした事を思い出し、ちくりと胸を痛めた。
ハーマイオニーの言うことも今なら分かる、もし抜け出した事を知れば彼女は怒り、そして心配し悲しみ幻滅する事だろう。厳しくもあるが、それはハーマイオニーと同じで、──優しさ故の厳しさなのだ。
「私も、楽しみにしていました!今日はよろしくお願いします」
「はい、こちらこそよろしくお願いします。…さてミス・プリンス…あなたはどの程度の変身術を使えますか?」
「えっと…そうですね、姿を模倣するのは得意です。けれど、中身…本質まで変える事は苦手です…そうですね…この本の羊皮紙を使っても良いですか?」
「ええ、どうぞ」
ソフィアはあたりを見渡し、机の上にあった一巻きの羊皮紙を手に取る、マクゴナガルが頷いたのを見て、ソフィアは杖を振るった。
「変身せよ」
するとソフィアの手の中にあった羊皮紙は透明なガラスのグラスへと変わった。
マクゴナガルはいとも簡単に行われた変身術を見て、やはり彼女の才能は本物だと知る。何度か見たが、本来全く別の性質へと変化させる事はとても複雑で難しい。木製のコップをガラスのグラスに変える事は出来ても、一巻きの薄い羊皮紙を大きさも、性質も異なるグラスに変えるには精密な魔力操作が必要なのだ。
ふと、ソフィアはグラスを持った手を離した。
それは重力に従いそのまま床に落ちる、しかしガラスの割れる音はせず、グラスは変化を解くと素の羊皮紙に戻った。
それを見たマクゴナガルは小さく頷く。
「──成程、あなたの課題は変化した後の姿を保つ事ですね」
「はい、どうしても強い衝撃を与えると解けてしまうんです。本当なら…ガラスのまま砕けるはずですよね?」
「ええ、そうですね」
マクゴナガルは床に落ちた羊皮紙を手に取り杖を振る、そして先程ソフィアが変えたのと同じガラスのグラスに変化させ、床に落とした。
──ガシャン!
グラスは床にあたった衝撃で割れ、床に転がりながら破片を散らばせた。ソフィアは間近で見たマクゴナガルの鮮やかな変身術に目をキラキラと輝かせ、そっとしゃがみ込みその破片をまじまじと観察する。
「凄い…!細かくなっても、変身術が解けてない…!」
「ええ、修練すればあなたも出来るようになりますよ、ミス・プリンス」
杖を一振りし、散らばった破片を消し去りながらマクゴナガルは微笑んだ。彼女は1年生にして、既に4年生が行う変身術と同じレベルにきているだろう。それも、独学だというのだ、彼女はずば抜けた才能と確かなセンスを持っている。
「ありがとうございます!…後は、そうですね…大きすぎるものとか…無機物から別の生き物への変身術は出来ますが、生き物から無機物への変身術は…苦手です」
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