ハーメルン
【完結】スネイプ家の双子
31 痛そうな怪我!



ソフィアは2日ほど額に大きなガーゼを貼り付けていたが、傷は全く残らず綺麗に治った。それも、普通の傷薬ではなく、かなり貴重な物をセブルスが持ってきて6時間おきに塗るという、甲斐甲斐しい手当のおかげだろう。夜中と早朝にこっそりと寮を抜け出し入り口の前で薬を持ち待ちうけているセブルスに会いに行くのは少々嬉しくもあり、かなり眠くて面倒だったが、少しの傷跡でも残ってしまえばきっとルイスと父は酷く心を痛めるだろう。それがわかっていたから文句は何も言わなかった。

トロールの一件で、ソフィアとルイスはハリーとロン、そしてハーマイオニーのかけがえのない友人となった。共通の強い経験がある事で絆が強固となりお互いが好きになる、そんな特別の経験を経て、彼らは真の友人となった。
ルイスは寮が異なっていたため、常に一緒には行動できなかったが、それでも休み時間にハリー達を見つければすぐにルイスは駆け寄って取り止めのない話を楽しそうにした。
気がつけばいつの間にかハリーとロン、ハーマイオニーとソフィアは4人で行動するようになったが、それも当然の事と言えるだろう。

ハーマイオニーはトロールとの一件から、規則を破る事にやや寛大になり、随分と優しくなり、それはハリーとロンにとって途轍もなくありがたい事だった。
膨大な宿題にうなされるハリーとロンに、ハーマイオニーとソフィアは2人がかりでヒントを与え、間違っているところはチェックを入れた。どちらかと言うとソフィアは2人に甘くすぐに答えを教えようとしたのだが、ハーマイオニーは自分で考えなければ身につかない、と当然の事を告げそれを止めた。

ハリーはハーマイオニーから借りたクィディッチ今昔という本を夢中になって読んだ。もうすぐハリーが選手として初めてのデビュー戦を迎える。この本を読んでいると昂りそわそわとした気持ちが少し落ち着いた。

ハリーのデビュー戦の前日。
4人は休み時間に凍りつくような中庭に出ていた。あまりの寒さにソフィアは持っていた羊皮紙を透明なガラスのランプに変え、ハーマイオニーは魔法で鮮やかなブルーの火を出しランプに入れた。


「寒いわ…!」
「本当に…もう冬だもの…うぅ、指の感覚がないわ…!」


ソフィアは鼻を赤くし、ランプに震える手をくっつけた。4人がランプの火で温まっていると、ハリーはセブルスが廊下からこちらを見ていることに気付き、慌ててぴったりとくっ付きランプが見えないように隠した。きっと、火を出すことは禁止されているに違いない、そう思ったのだ。
しかし、ハリーのその隠し事をしているような表情に気付いたセブルスは脚を引き摺りながら4人に近づいてきた。
ソフィアは眉を顰め、その脚を見る。
そういえばトロールが襲った日、医務室へ向かう父の足取りはゆっくりだった。自分の額の怪我を気遣いゆっくり歩いているのかと思ったが、もしかしてあの日脚を怪我していた?でも、あれから一週間はたっている。何故、治さないのだろう。

自分の脚を見つめるソフィアに気付いたセブルスは、苦々しい表情で4人を見る。
そして、目敏くハリーが持つ本に気が付いた。


「ポッター、そこに持っているのは何かね?」


ハリーは渋々、クィディッチ今昔を差し出した。セブルスはすぐにそれを奪い取ると、静かにハリーを見下ろした。


「図書館の本は校外に持ち出してはならん。グリフィンドール5点減点」

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