33 クィディッチ戦!
ソフィアは同じグリフィンドール生達と一緒に競技場の観客席の1番最上段に座っていた。
みんなでハリーを驚かせようとベッドシーツで大きな旗を作り、「ポッターを大統領に」と書いて絵の上手いディーンがグリフィンドール寮のシンボルのライオンを描いた。ハーマイオニーとソフィアは2人で少し複雑な魔法をかけ、絵が色々な色に光るように手を加えた。
競技場にいる者皆が始まりを今か今かと待ち、期待と興奮から手を叩き足を踏み鳴らしす。
「さあ、皆さん、正々堂々戦いましょう。──よーい、箒に乗って…」
ピーーーーっッ!!
フーチの審判が銀色の笛を高らかに鳴らす。途端にグリフィンドールとスリザリンの選手達がそれぞれ空へ舞い上がった。
ソフィアは大歓声を上げグリフィンドール寮を応援した、点が入れば隣に居るハーマイオニーに抱きつき2人とも頬を紅潮させ喜んだ。
「ちょいと詰めてくれや」
「ハグリッド!」
ソフィアとハーマイオニーとロンはぎゅっと寄ってハグリッドが座れるよう席を大きく開けた。
「俺も小屋から見ておったんだが…やっぱり、観客の中で見るのはまた違うのでな。スニッチはまだ現れんか?ん?」
ハグリッドは笑いながら膝の上にある双眼鏡をぽんぽんと叩く。
「まだだよ。今のところハリーはする事が何も無いよ」
「トラブルに巻き込まれんようにしておるんだろうが。それだけでもええ」
ハグリッドは双眼鏡を手に当て、空高くを旋回している豆粒のようなハリーをじっと見た。
「ハグリッド!ねえ、双眼鏡を私にちょっと貸してくれないかしら?」
「んん?──お前さんは?」
「私、ソフィア・プリンス!」
「ハグリッドだ、ほれ」
ハグリッドは何処から声がするのかとキョロキョロしていたが、ハーマイオニーとロンの間に挟まれ縮こまっているソフィアをようやく見つけると、にっこり微笑んで双眼鏡を手渡した。
「ありがとう!」
ソフィアはじっと双眼鏡を観察し、覗いて辺りを見渡した。そしてポケットから小さな飴玉2つと杖を取り出すと、飴玉2つを双眼鏡に変化させ、ハーマイオニーとロンに手渡す。
「これで見やすいわよ!」
「ありがとう!」
「いつ見てもソフィアの変身術は素敵ね!」
笑顔で手渡された双眼鏡を2人は受け取り、早速目に当ててハリーを見た。ハグリッドは手際の良く鮮やかな変身術に驚き目を白黒させているが、ソフィアの悪戯っぽい笑顔に、はっと表情を変えた。
「まさか、お前さんはアリッサの…?」
「アリッサは母様よ!ハグリッド、知ってるの?」
ソフィアはハグリッドから双眼鏡を返しながら不思議そうに大きなハグリッドを見上げた。
ハグリッドは視線を明後日の方に向けながら、思わず呟いてしまった事を後悔しているように顔を歪め、曖昧に頷くとソフィアからの視線に逃れるために双眼鏡を強く目に押し付けた。
ソフィアはその反応が気になったものの、突然周りの生徒達が強く怒りの声を上げてブーイングをし出した事に気を取られ直ぐにハグリッドから目を離した。
スリザリンの選手とぶつかったのだろう、ハリーはコースを外れ辛うじて箒にぶら下がっていた。ソフィアは息を呑んだが、なんとかハリーは箒の上に登るとまたしっかりと跨り空へ登る。ソフィアはほっと胸を撫で下ろした。
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