34 雪遊びとクリスマス!
もうすぐクリスマスを間近に控え、生徒たちの大多数は久しぶりに家に帰り、家族と会える日を今か今かと楽しみにしていた。
ルイスとソフィアは2人で魔法薬学の研究室へと向かう、予め訪問は告げて無かったが、一応宿題の質問という建前を用意している為に無理に追い返され無いだろうとは思っていた。
地下室にある研究室は、ホグワーツの中でも一段と冷えて居た。ソフィアはルイスの片腕に捕まり暖をとりながらも、ぶるぶると身体を震わせた。
「先生、ソフィアとルイスです。宿題の質問に来ました」
「…入れ」
不在だったらどうしようかと思ったが、幸運にも目当ての人は居たようで2人は扉をくぐり中に入った。
ちらりと見渡した限り、他に生徒はいなさそうだった。
「どこがわからないのかね?ミスター・プリンス、ミス・プリンス」
開口一番のセブルスの言葉に、生徒として振る舞えという隠された言葉を読み取った2人は顔を見合わせ頷いた。
「先生、ここです」
2人は用意して居た教科書を持ち、セブルスの元に駆け寄った。セブルスはこの2人が授業の質問などあるわけがないと──2人はとても、優秀だった──思っていた為訝しげにしながらも、開かれた教科書を覗き込む。
──クリスマスは、家に戻るの?
そのページには小さく切られた羊皮紙が挟まれていた。
セブルスはその言葉を読み、2人を見下ろす。2人はどこか自慢げな悪戯っぽい顔で笑って居た。こうすれば、ほかに誰が居たとしても、自分たちの関係を知られる事なく聞くことが出来る、素晴らしい思いつきでしょうと言うような、そんな笑顔だ。
「先生、これはあっていますか?」
セブルスがイエスかノーかで答えやすいように、ソフィアが誘導した。セブルスは少し考え。
「いいや、違うな」
ノーと答えた。
2人は少し顔を見合わせ、そしてルイスは次のページをめくる。
──少しだけでも、家族で過ごせる?
「これは、どうですか?」
「…少し。…惜しいな。回答は25ページ…後半の…20行目に乗っている」
「──!わかりました!」
ルイスはパッと表情を明るくさせた。
セブルスの答えは、25日、午後8時からなら会えるというものだと2人は理解し、嬉しそうに笑った。
そして、顔を見合わせ悪戯っぽく笑い、ソフィアは次のページを開いた。
──プレゼントは、ルイスは上級魔法薬学書、ソフィアは高度変身術集で!
「また、質問を聞きに来て良いですか?」
「…良いだろう」
「ありがとうございます!」
2人はちゃっかりクリスマスプレゼントをねだり、その願いを受けてもらえたことに嬉しそうに笑い、ようやく教科書を閉じた。
「質問は終わりです!」
「ありがとうございました、先生!」
2人は嬉しそうに笑い、セブルスに手を振りながら研究室を飛び出した。
研究室に1人残されたセブルスは、2人の確かな成長を感じ、少し嬉しそうに目元を緩めた。
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