ハーメルン
【完結】スネイプ家の双子
06 タランチュラだーいすき!



3人は暫く話に花を咲かせた。
ハリーはマグルの元で育てられていた為に、2人が話す摩訶不思議な話は何処か夢物語のように思えた。ホグワーツでの生活に期待感を込めると同時に、何も知らない自分が果たして上手くやっていけるのか心配だった。

世界は僕を知っているのに、僕は世界を、何も知らない。

ハリーの表情が少し不安げに揺れたのを見て2人は顔を見合わせ、カバンの中を探り、小さな箱を取り出すとそれぞれ1つずつハリーに手渡した。 


「これは…?」
「ヒエビエ爆弾と」
「メラメラ爆弾よ。どっちも中々に面白い物だから…是非使ってみて」


2人は悪戯っぽく微笑む。
ハリーはきょとんとしたまま手のひらに転がる箱を開けようとしたが、それは「だめ!」という2人の渾身の叫びにより止められた。
ハリーが2人の必死な声に驚いていると、2人はまだ箱が開けられていない事にほっとため息をついた。 


「ハリー!これはね…うーん…ちょっと悪戯したい相手に使う物さ!」
「間違っても狭い密室で開けてはだめよ?じゃないと…大変な事になるの」


2人は大真面目な表情で声を顰めハリーに忠告した。
ハリーは手のひらに転がる二つの箱をそっとポケットの中に入れる。それは止められなかった為、こうして持っていても危険のない物なのだろう。


「大変な事って?」
「それは…やってみてのお楽しみさ!」


ルイスは楽しげに笑う。ハリーは2人からもらった物騒な名前の箱を早く何かに使いたいとちらり、と思った。


「──ねえ、ここ空いてる?他はどこもいっぱいなんだ」


突如コンパートメントの扉が開いて赤毛の少年が何処か疲れたような表情で尋ねた。
ハリーは先程一緒に9と4分の3番線に来た少年だと気付いたが、ルイスとソフィアはフレッドとジョージしか目に写って居なかった為気が付かなかった、ただ、彼らと同じ赤毛と特徴的なそばかすが散りばめられた顔を見てきっと兄弟なのだろうとは思った。

ハリーはちらりとルイスとソフィアを見る。後1人なら入れない事もないが、この場には2人がいる、自分1人で決める事は出来なかった。2人はハリーの視線の意図に気付き、にっこりと笑った。


「ええ、どうぞ!」
「君、もしかしてフレッドとジョージの弟?」
「そうだよ、ロナルド・ウィーズリー、みんなは僕のことロンって呼ぶよ…あ、ちょっとごめんね、…ありがとう」


ロンはルイスの足の上を跨ぎ、ハリーの隣へと深く腰掛けた。

ルイスとソフィアは自己紹介をしようと口を開きかけたが、その後に扉からひょっこりと顔を出した赤毛の双子に気づくとぱっと立ち上がり扉へ駆け寄った。あまりに同時に動いた為、2人は肩をぶつけ合ったが全く気にする事はない。


「なあロン、俺たち、真ん中の車両あたりまで行くぜ…リーがでっかいタランチュラを持ってるんだ、見にこないか?」


にやにやと笑いながら言うフレッドに、ロンは顔を青くして苦虫を噛み潰したような表情になりもごもごと「わかった」と呟く。2人の兄は自分が蜘蛛が大の苦手だと知っている、知っていて、こうしてわざわざ聞きにきたのだろう。


「タランチュラ!?見に行きたいわ!」

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