ハーメルン
【完結】スネイプ家の双子
06 タランチュラだーいすき!

「ソフィア!…へー?虫とか得意なんだ?」


ジョージは面白そうにソフィアを見た。ソフィアは笑ったまま大きく頷く。
ソフィアは一見するとおとなしそうな少女に見える。それこそ、図書室で本でも読んでいそうな雰囲気だ。だがそれは口を閉じていたらの話で口を開き目を輝かせている彼女は活発性と行動力に溢れていた。勿論虫や爬虫類の一匹たりとも、彼女は怖いとは思った事はない。
だが隣にいるルイスは別だった、よく似ている彼らの決定的な差と言えるだろう。ルイスは引き攣った笑みを浮かべ、一歩下がると静かに席に座り直した。ルイスは爬虫類はともかく、6本足以上の生き物は大の苦手だった。


「…僕は、遠慮するよ…」
「なんでよ!折角なのよ?タランチュラよ??ふわふわとして可愛いじゃない!」


その言葉にルイスとロンはタランチュラを想像してしまい顔を青くして身を震わせた。
フレッドはルイスとソフィアの会話を面白そうに笑いながら見ていたが、チラリとハリーを見ると思い出したように口を開いた。


「ハリー、自己紹介したっけ?俺たちフレッドと、ジョージ・ウィーズリーだ。こいつは弟のロン。じゃ、また後でな」
「バイバイ」


ハリーとロン、ルイスは声を揃えて答えた。
ソフィアはジョージに手を差し出され、その手を素直に取ると度胸のない3人を見て少し残念そうにしながらも扉から出ていった。


ジョージに引かれ、ソフィアは車両の真ん中辺りへ向かう。直ぐに目的の場所を見つけることが出来た、とあるコンパートメントの側に人だかりが出来ており、覗き込んだ人たちは一様に顔を恐怖で引き攣らせながら小さな悲鳴をあげていた。それでも見に来る人が絶えないのは、怖いもの見たさ故だろう。
 

「リー!この子に見せてやれよ!」


ジョージとフレッドは人混みを掻き分け、コンパートメントにソフィアを連れ込んだ。
リーは先程の少女だと気付き、こんな普通のおとなしそうな女の子、見ただけで泣き出してしまいそうだと慌ててタランチュラの入っている蓋を閉めた。


「ちょっ…!き、君、この中に何が入っているか知ってるのか?」


ソフィアはリーの前に座り、キラキラとした目で箱を覗き込み、リーを上目遣いで見上げた。


「ええ、ふわふわとした可愛い子でしょ?」
「…いやー…おい、フレッド、ジョージ…何だと言って連れてきたんだ?」


愛らしい動物を想像しているのだろうとリーは考え怪訝そうな目で双子を見た。まさか嫌がらせの為に?双子は人を傷つける悪戯はしないと思っていたのだが。
しかし、双子はにやりと笑うとリーの手の中にある箱を奪い、慌てるリーを横目にさっとソフィアの目の前で蓋を開けた。

この後響くだろう悲鳴に、リーはぎゅっと目を閉じた。


「わぁーーー!!」


しかし、響いたのは嬉しそうな歓声であり、怖々と目を開けたリーの目に信じられない光景が広がった。
ソフィアは自分の手のひらよりも大きなタランチュラに眼を輝かせ、そっと優しく手を差し出していた。


「…おいで?…そう…ふふ、いい子ね…」


箱の中で縮こまるタランチュラを怖がらせないようにとても優しく囁き、そっとタランチュラがその長い脚を手に乗せて登ってくるとさらに嬉しそうに頬を赤く染めた。

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