ハーメルン
スネイプ家の双子
07 タランチュラだーいきらい!


ソフィアが出ていった後、ルイス達はハリーが車内販売員から沢山購入したお菓子をみんなで分けて食べていた。

コンコン、とコンパートメントの扉がノックされ半分泣きながら1人の少年が静かに扉を開けた。


「ごめんね。僕のヒキガエルを見なかった?」


三人は顔を見合わせ同時に首を振る。
ルイスはそういえばペットとしてヒキガエルを連れてきても良いと書いてあった事を思い出した。2人は猫を飼おうかと相談した事もあったのだが、一年生でまだ学校生活に慣れない内は新しいペットを飼っても育てる余裕が無いかもしれないと思い諦めたのだった。


「いなくなっちゃった。僕から逃げてばかりいるんだ!…もし見かけたら、僕に声をかけて?」


少年はすんすんと鼻を啜り涙目のまま酷く落ち込んだ様子で出ていった。きっと、もう何人にも同じ事を聞き、同じ言葉を返されたのだろう。

ルイスは一人で探す少年が何だか気の毒に思った。今から輝かしく楽しい学生生活が始まるのだ、その始まりが涙で濡れている子どもが1人でも居るなんて、そう思うとルイスは立ち上がりルイスを驚いて見るハリーとロンを振り返りながら扉に手をかけた。


「僕、さっきの子と探してくるよ!」
「ええ?わざわざ…知り合いだったの?」


ロンはそんな事しなくても、と言いたげな目でルイスを見る。ルイスは少し苦笑し首を振った。


「知らない子だけど…入学する時の思い出が涙の記憶なんて、あんまりじゃないか!…それに、ソフィアの様子も見てくるよ」


ルイスは2人の返答を聞かずに手を振ると直ぐに少年の後を追った。
ロンとハリーは顔を見合わせ、ルイスの心の優しさを尊敬すると同時に、そんな事つゆとも思わなかったとほんの少し、恥ずかしく思った。
 


「ねぇ、君!」
「…僕?ヒキガエル、見つかったの!?」
 

少年──ネビルは呼び止められ期待を込めてルイスを見たが、彼の困ったような表情に気付くと再びじわっと目に涙を溜めて肩を落とした。


「期待させちゃってごめんね、僕も一緒に探すよ!」
「ほ、本当?ありがとう!…僕はネビル・ロングボトム、ヒキガエルの名前はトレバーだよ」
「僕はルイス・プリンス、よろしくね」
「…あら、貴方も一緒に探してくれるの?」


ルイスは気が付かなかったが、ネビルの奥にいた栗色のふわふわとした髪の少女がずいっとネビルを押し退けルイスの前に立つ、そして手を差し出した。


「私、ハーマイオニー・グレンジャーよ、私もネビルのヒキガエルを探しているの」
「そうなんだ、僕はルイス・プリンスだよ、よろしく!3人居ればすぐに見つかるかもね」


何となくソフィアと似た自分に自信たっぷりの話し方をする少女だと思いながらルイスはその手を握った。


「別れて探そうか、──僕はこっちを探すよ」
「ええ、じゃあ私たちは…こっちね」


ハーマイオニーはネビルとルイスが今来た方を示し、そっちはもう探したよ、とネビルが言う前にさっさと進んでいってしまった。
ネビルは慌ててハーマイオニーの後を追い、残されたルイスは仕方がなく一人で探す事にした。確かソフィアもこちらに向かって行ったはずだ、タランチュラを見に行ったにしてはなかなか帰ってこない。きっと話が盛り上がっているのだろう。

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