遊星爆弾
「あれは……」
艦内で特にやる事も無く暇を持て余していた古代が舷窓に飛びつく。島も、ベッドの上段から降りてきて古代の後ろから外の様子を覗いた。
「……遊星爆弾だ」
遊星爆弾。エッジワース・カイパーベルトを構成している小惑星を用いたガミラスの惑星間超長距離爆撃だ。厳密にいうと惑星から放たれている訳では無いので此の名称は間違いなのだが、メディア等で多用された事で広まり、多くの人々が使用している。
一発目の段階では災害であると考えられていたが、エッジワース・カイパーベルトから有り得ない軌道で落下して来る事、発生する度に冥王星表面の特定カ所で熱源が発生する事から今ではガミラスの攻撃であると考えられる様になった。
古代の両親を奪った悪魔の兵器が艦の横を猛スピードで突っ切って行った。艦内放送の一環として使用されているモニターを見ると艦外部に備えられているカメラが捉えた望遠映像が映し出されている。キリシマの戦術長が迎撃を試みようとしたのか、画面の端に僅かに映る主砲塔は遊星爆弾の方向へ旋回していたが、いつ迄待っても砲撃が行われる様子は無かった。恐らく損傷に依る出力不足で断念したのだろう、と古代は推測した。
二発の遊星爆弾はカムチャッカ半島の南東の沖合と、日本の福島県の沖合に着弾し、遥か上空からでも分かる様な火球を形成した。且つては月面基地、各ラグランジュ・ポイント、衛星軌道、地上全てから迎撃が行われたが、国連軍が壊滅してしまった今となっては誰も迎撃しない……否、出来ない。
「悪魔め……」
古代は苛立たし気に舷窓を叩いた。
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