出撃準備
「司令部より入電。冥王星表面にて大規模な熱源を観測。惑星間弾道弾が発射された模様」
惑星間弾道弾はガミラス軍が持つ全長約1.5kmもの大型ミサイルだ。弾道を反らしさえすれば効果が無い遊星爆弾と違い、反らしても自動修正する能力があり、威力も比にならない。地球への攻撃ではニューヨークやロンドン、東京といった大都市への攻撃に使用され、幾つもの摩天楼や歴史的遺産が跡形も無く蒸発させられた。
「このタイミングで、という事は……」
古代の言葉に真田が答える。
「ほぼ確実に目標は我々だろう。艦長へ報告。各科は作業急げ」
冥王星から地球迄の距離は遠いが、彼らは時空を曲げて跳躍するワープ航法が使用出来る。其の為、何時地球に到達するかを予測するのは困難で、出来るのは作業を急いで出撃を早める事だけだった。
「状況を報告せよ」
降りて来た沖田の言葉を受け、真田が状況の詳細を報告する。
機関長の徳川は現場で指揮を執っている山崎応急長に連絡を取ってエンジンの状態を確認した。
「波動コアの搭載作業は完了しました。後は電力さえ確保出来れば始動できます」
「其れに関しては問題無い。極東管区を始め、各管区の電力が全て此方に回される事になっている。じきに来る筈だ」
真田の言葉通り、世界中の管区から電力が回され始めた。遠い場所に居る姉妹艦のムサシやシナノでも全ての電力が止められ、建造作業が完全に中止される。横転した状態で建造されているシナノの現場では効率化の為、慣性制御装置が作動していたが、其の電源も止まったので作業員達は天井に立っている。
「どうだ?」
「大丈夫です。火を入れられます」
山崎の報告を聞いた徳川が沖田の方を向く。二人は特に言葉を交わさなかったが、長年、一緒に働いていただけあって意思は通じたらしく、沖田が頷いた。
「総員配置に付けぇっ!!」
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