ハーメルン
仮面ライダーテテュス
第9話:シャーク、無意識の意識

 地上での戦いが一段落した頃、地下での戦いも終結に向かっていた。

 元々先日の戦いで大きく数を減らされていたディーパーは、最初こそ奇襲によりS.B.C.T.を翻弄していたがそれもすぐに押し返された。本気で連携を取るS.B.C.T.の前に下級ディーパーは直ぐに数を減らしていく。

 その中で唯一別格の隊員が変異したディーパーも、スコープには力及ばなかった。

「これで!」
〈Recognition〉
「タァァァァァッ!」

 スコープのエンドスマッシュがディーパーに炸裂し、隊員が変異したディーパーを倒す事に成功。そしてそれがこの地下に巣食っていたディーパーの最後の一体であった。

 ディーパーを倒し、それでも尚警戒し周囲に気を配るスコープとライトスコープ達。暫く待っていたが、ディーパーの増援がやってくる気配はない。

「北村さん、こちらαリーダー。最下層のディーパーは全て倒しました。逃げた奴はいませんか?」

 もしかすると状況の不利を察して、この場を捨てて別の場所に巣を作ろうとするやつが出たかもしれない。それを警戒してスコープは茜にセンサーの確認を頼んだ。
 果たしてその結果は直ぐに知らされた。

『北村です。確認しましたが、センサーに反応はありませんでした。逃げた奴はいないようです』
「という事は……」
『一先ず、地下研究所内のディーパーは殲滅完了です。お疲れ様でした』

 茜からの戦闘終了の言葉に、S.B.C.T.の隊員達はスコープも含めて安堵の溜め息を吐いた。ここまでやって、逃げられて別の場所に巣を作られて数を増やされました、など冗談ではない。

「了解。これより帰還します」

 スコープの言葉を合図に、S.B.C.T.の隊員達は最下層から引き上げていく。場所的に一番奥に居たスコープは、全員が引き上げていくのについて行く形になる。

 最後にその階を立ち去る直前、スコープは最後にもう一度そのフロアを振り返り自分の目で安全を確かめる。
 ざっと見渡した限り、怪しく動くものは見当たらない。ディーパーは完全に殲滅された。

 とは言え、これですべて終わりという訳にはいかないだろうとスコープはフロアを見渡しながら考えた。

(ディーパー達は外から……海底からこの街に入り込んできた。という事は、海都の周りの海の中にはまだまだディーパーが蔓延っているという事……)

 今回は深海の施設という事で地下研究所が奴らに狙われたが、奴らはその気になれば地上を直接襲撃する事もできる。

 この街を襲う危機は、まだ去ってはいない。

「今回の任務……長丁場になりそうだな」
『それは予想出来ていた事です。この街に、全く新しい仮面ライダーが現れた時から……』

 出し抜けに通信機から茜の声が響いてきた事に、スコープが驚き肩をびくりと震わせた。

「うぉっ!? き、北村さん聞いてたんですか?」
『通信機つけっ放しにしてたのは小早川さんの方じゃないですか。それなのに聞いてたも何もありませんよ』
「あ……」

 スコープはすっかり忘れていた。通信機は一応オンオフできるのだが、スコープに変身する慎司は咄嗟の時に通信が遅れることを恐れて任務中は基本通信機をつけっ放しにしている。この時はそれを自分ですっかり忘れていたのだ。

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