THE ROSETTA STONE
「やぁ、同志。
これを見ている君は、
ぼくが君のことを何故知っているのか、疑問を抱いているはずだ。」
「答え合わせをすると、君の知っての通り、この世界は何度も同じ時間を繰り返している。
どうやら、ぼくたちは今から276周前のとき、
世界による書いたメモへの修正を回避する魔道具を偶然発見したようだ。
そして、ぼくたちはその魔道具を改良し続けながら、
次の周のぼくたちへと情報を残し続けていたらしい。」
「続いて、ぼくは君の抱いているであろう、もう一つの疑問にも答えねばなるまい。」
「結論から言おう、この世界を保つシステムは限界を迎えている。
最早、世界に認識阻害をする余力はない。
世界のリソースのほぼ全ては、シャドウの排除に向けられていると思われる。
しかし、それも苦肉の策だ。
数周以内にこの世界はシャドウに覆い尽くされ滅びるか、
覇瞳皇帝とやらが世界の全てを支配するかのどちらかになるだろう。」
「だが、ぼくはそんな結末を望まない。
故にぼくは世界を存続させるべく動くことにした。
手始めにぼくは学会の識者へ向けて、彼らの認識阻害を解くことを目的とし、
幾百ものぼくの集大成である論文、『世界にわだかまる根源的な虚構』を発表した。」
「結果は申し分なかったが、ぼくはこの論文の発表によって、覇瞳皇帝に狙われることとなった。
なので、フィールドワークという名目で隠れることにする。」
「追記:
君は知らないようだが、このアストライア大陸にはランドソルを中心とし、
各地の遺跡を地下道で繋いで構築する巨大魔法陣が存在する。
文献によると、魔法陣は占星術の一種である、天体魔術と呼称される魔術を発動できるそうだ。
一つ前のぼくらは君が死んだ後に天体魔術を発動したが、覇瞳皇帝には通用しなかったようだ。
だが、君の知識を借りれば天体魔術を覇瞳皇帝に届かせられると、ぼくは思っている。
詳しいことは、ラビリンスに所属するドクター・ロマンに聞いてくれたまえ。」
ドクター・ロマンに天体魔術、絵本のお伽噺、原作知識と辻褄の合わない夢。
これだけの情報があれば俺でも確信する。
俺は本来、この世界には存在しない。
したがって、この世界に俺以外のイレギュラーが存在しても可笑しくはない。
つまり、この世界にはFateが混じっている。 それが俺の結論だ。
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