ハーメルン
聖闘士セイヤッ! 水晶哀歌~水晶聖闘士になった俺の華麗なる生存戦略~
第11話 アルターとでも、何とでも、好きに呼べばいい
新教皇として、聖域を支配するアーレスこそが倒すべき敵であると、決意を新たにする星矢たち。
しかし、度重なる戦いにおいて消耗した今のままでは、勝てる戦いも勝てぬとの紫龍の言葉により、一同はしばしの休息の時を過ごすのであった。
各自がそれぞれの時間を過ごす中、同じ孤児院で過ごした少女――美穂と海岸で語り合っていた星矢の前に、聖域からの刺客として魔鈴と白銀聖闘士蜥蜴星座リザドのミスティが現れる。
聖衣を纏い、必殺の流星拳を放つ星矢であったが、ミスティの鉄壁の防御に全て防がれてしまう。
もはや星矢に勝機はなしと、ミスティを止めた魔鈴は、自らの手で星矢に止めを刺すのであった。
一方、聖闘少女になることを目指して修練に励む少女たちの学び舎、聖アカデミーが邪悪の気配に包まれる。
青空は瞬く間に夜の闇よりも暗い空へと変貌し、夜空に浮かぶべき星々の輝きは、大小無数の鬼火に取って代わられていた。
単独修行を終えて聖アカデミーへと帰還した聖闘少女の少女――カシオペア座の青銅聖闘士エルダ。
彼女は、崩壊した学び舎と、ある者は友を庇い、ある者は眠るように、ある者は苦悶の内に倒れていく生徒たちの姿を目撃する。
そして、惨劇の中心に立つ、黄金の輝きを放つ鎧に身を包んだ男の姿を。
聖アカデミーは今、最大の危機を迎えようとしていた。
イオニアの手記より
・ミスティの鉄壁の防御壁
相手へと向けた両手を高速で旋回させることでジェット気流の様な空気の流れを作り出し、それは空気の防御壁となっていかなる攻撃をも跳ね返すであろう。
砂浜に流木を用いて作られた簡素な墓標が突き立てられていた。
そこに刻まれた文字はPEGASUS。つまり、星矢の墓標である。
「先ずは一人。しかし、意外だったな。さすがのお前でも、愛弟子の止め迄はさせんと思っていたのだが……なあ、魔鈴よ」
魔鈴の突き立てた墓標を見つめていたミスティであったが、そう言うと、この場から背を向けて立ち去ろうとする魔鈴へとその視線を向けた。
「掟を知りながらそれを破ったのは星矢だ。ならば、こうなる覚悟もしていたハズ。
なら、聖域で六年付き合ってやったよしみとして、わたしが始末してやるのがせめてもの情けってヤツさ」
振り返った魔鈴とミスティの間に沈黙が訪れる。
ざあんと、波の押し寄せる音が何度か繰り返され――
「――弟子を持たぬわたしには分からぬ感覚だ。だが、お前が言うのであれば、そういうものなのかもしれんな」
そう言うと、ミスティは魔鈴に背を向けて海へと向かって歩き始めた。
「……どうしたんだいミスティ?」
「いや、先程の星矢の拳で少し汚れてしまったのでな。海の水で洗い流そうと思っただけよ」
このミスティの身体には埃一つ付いてはならないのだ。
魔鈴は、そう言って聖衣と衣服を脱ぎ始めたミスティの姿に、そういえば、
こういうヤツ
(
ナルシスト
)
だったなと思い出す。
「……まあ、好きにするといいさ。わたしは先に行かせてもらうよ? 先行して日本に来ているらしい
楯座
(
スキュータム
)
と
南十字座
(
サザンクロス
)
に合流しろと言われているんでね」
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