報告書014『プロジェクト・オーダー:中編』
――――日本国・茨城県小美玉市・百里飛行場
ベルが鳴り響き、パイロット達がソファーから飛び起きたかと思うと格納庫に向かって駆け出す。
『スクランブル!!』
スピーカーがベルと同等の音量でそう告げる。
格納庫では少し上を向いたカナード翼が特徴的なF-15SJ戦闘機の周りを、整備員が走り回ってパイロンに取り付けられた熱線追尾式空対空ミサイルから次々と安全ピンを取り外している所だった。
梯子を駆け上がりコックピットに飛び込むと同時に振り返ってエア・インテークの前方に障害物が無い事を確かめる。
エンジン始動用モーターを起動させ、HMDが取り付けられたヘルメットを被り酸素マスクを装着。
梯子を上がってきた整備員の手を借りてショルダー・ハーネスを締め、Gスーツのホースを接続する。
接続を確認しパイロットが親指を立てると整備員は頷いて降りて行った。
コックピットの各計器を起動・チェックし右手を風防の上に出して二本の指を立てる。エンジン始動の合図だ。
重々しい回転音と共に回転計の針が上がっていく。
そして一定の数値に達したのを確認しエンジンに燃料を入れる。
エンジンの内燃焼室に噴射された燃料が着火し、轟音が響く。
(よし、次は左エンジンだ)
再び右手を風防の上に出し、今度は指を三本立てる。
やがて左右のエンジンが無事にかかり機体のシステムに異常が無いのを確認すると、風防の外に両手を突き出して親指を外側に向ける。
機体前方に立つ整備員が誘導パドルを左右下に広げ、『タクシー・アウト待て』と合図する。
その間に他の整備員が車輪止めを外していった。
やがて整備員が右手のパドルを高々と上げて『出発よし』と知らせてくる。
――――――――――――――――
管制塔と交信しつつ誘導路を通って滑走路に並んだ2機のF-15SJイーグルがアフターバーナーの轟音を響かせながら地を蹴り、あっという間に大空へと消えていく。
その後方では更に1組の編隊が離陸を控えていた。
この日、東京は――――否、日本は恐怖の一日を過ごすことになる。
――――――――――――――――
先行して飛び立った編隊はレーダーサイトが捉えた不明機と対峙していた。
『タリホー!(敵機を目視で確認!)』
編隊長の通信に2番機のパイロットが目を凝らす。
「な――――――――」
レーダー上に映った機影は2機。しかし、その目に映ったのは――――
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