■10 闇夜の偽真祖
◆31 帝国プレミアム召喚
麻帆良学園全域の電力機器メンテナンスを行なう大停電、その当日。
キティちゃんとネギくんの果たし合いの日だが、茶々丸さんが学園結界の予備システムへハッキングすることにより、キティちゃんの魔力は完全な状態へと戻る。
つまり、ネギくんは全盛期のキティちゃんを相手する必要がある。
だが、それよりも大事なことがある。
ガチャである。帝国プレミアム召喚の『冥界の魔術師ヘカティエ』出現確率アップの日が、今日なのである。
これは、引かねば!
「お、ネギ坊主、マジック・アイテムを大量に抱えているアル」
「武装解除の魔法を防げなかったら、一発でおじゃんだな」
そもそも、なぜ私はヘカティエ様を引こうとしているのか。
私の『千年戦争アイギス』の所持キャラクターの中には、『ちびヘカティエ』という子がいる。
『ちびヘカティエ』は、『冥界の魔術師ヘカティエ』が不思議なパワーで二頭身に縮んでしまった存在。
スマホの中の世界でも、ヘカティエ様はちびの状態で生活している。
ちなみに、ちびキャラは他にも何人か所持している。たとえば、私は『ちびラピス』というキャラを所持しているが、これの大本の存在となる『大悪魔召喚士ラピス』も所持している。
この状態だと、ラピス様はスマホの世界の中で、ちびの状態と本来の姿である大悪魔召喚士の状態を好きに行ったり来たりできるのだ。
「おー、本当にアスナといいんちょがいるアル。ネギ坊主とチューしたアルね!」
「いいんちょがパートナーになるとは、意外だったなぁ」
「そうアルか? むしろ納得しかないアルが」
「いや、それはそうなんだが……」
では、ちびしか所持していない状態のヘカティエ様はどうなるか?
私がガチャで『冥界の魔術師ヘカティエ』を引くまで、スマホの世界の中では、ずーっとちびキャラのまま元の姿に戻れないのだ。
つまりだ。私は、元の姿に戻りたいというヘカティエ様の要求に応えるため、今回のガチャを回そうとしているのだ!
……ヘカティエ様が元に戻れたら、その対価として冥界の魔術を教えてもらうという約束なので、これだけ必死になっているわけだが。
ヘカティエ様は冥界の管理者にして、亜神。その秘技を伝授してもらえるとなると、引く以外の選択肢はない。
「エヴァにゃんの従者は茶々丸だけカ」
「さすがにチャチャゼロは出せねえだろ?」
「素人相手に出したら大惨事アルね」
ガチャ石こと神聖結晶の数は、無料で集めた分で約一五〇個。
あと二十八回召喚することで、最高レアリティであるブラックのキャラクターが確定で引ける。
十連召喚に必要な神聖結晶は、50個。
つまり、この結晶一五〇個があれば、十連を三回回すうちにブラックが確定で一人召喚できる。ちなみにヘカティエ様はレアリティブラックだ。
「お、アスナは茶々丸が押さえたアルか」
「妥当だな。いいんちょは……うわ、エヴァンジェリン先生が直接押さえるのか。合気柔術対決じゃねえか」
「ネギ坊主が手すきになるヨ」
「そんなん、エヴァンジェリン先生なら片手間で相手できるだろ……ほら、武装解除決まった」
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