■19 旅の終わりに
◆48 関西呪術協会本山
ネギくんと聖剣エクスカリバーでたわむれてから、私はネギくん、桜咲さん、そして完全に目を覚ました近衛さんと一緒に、後方戦闘組と合流した。
そして話を聞くに、どうやらフェイトは一発目の『約束された勝利の剣』が炸裂した時点で、月詠を連れてキティちゃんから逃げ出したとのこと。フェイトは造物主を切り崩す一手となる存在のため、キティちゃんは殺したり捕まえたりする気は元々なかったようだ。
ちなみに月詠は、古さんの仙術と宝貝で、ズタボロにされていたらしい。
ネギくんが封印の祭壇へ行く途中にバトルになった犬上小太郎は、ネギくんと互角のバトルを繰り広げたようだ。しかし、オーガスタさんが『約束された勝利の剣』を強化する際に使ったスキルで、ネギくんが急に回復&強化。そこからネギくんは犬上小太郎を圧倒して、相手の無力化に成功したとのこと。
事件の主犯であるお弁当女こと千草は、ちゃんと捕らえてある。犬上小太郎と一緒に、関西呪術協会へ引き渡すこととなるだろう。
召喚された妖魔と戦ったメンバーに、これといって怪我らしい怪我はなし。というか、オーガスタさんのスキルで治ったようだ。チョコカレーの力すげー。
さて、次にやるべきことがある。私達は湖のすぐ近くにある山、関西呪術協会の本山を登り、頂上部分に設けられた屋敷へと向かった。
鳥居が多数連なり、季節でもないというのに桜が舞い散っている巨大な屋敷だ。だが……。
「な、なんやのこれ……!」
完全に目を覚ました近衛さんが、自分の実家の惨状を見て、驚きの声をあげた。
建物に被害があるわけではない。ただ、屋敷に住む住人、使用人が全員石化してしまっているのだ。
詠唱ができないよう口を布でおおわれている主犯と、犬上小太郎もこの光景には絶句してしまっていた。
ここまでやれとは言っていないのに。そう言いたげな二人だった。
「お父様……」
ネギくんをかばって石化されてしまったという近衛詠春さんを見て、近衛さんが涙を流した。そして、それを見たネギくんが、悲痛な顔をする。
ネギくんのその表情は、詠春さんが自分をかばったという事実からくるものだけではないだろう。ネギくんは、故郷を襲撃されて、住人を皆、石にされてしまったという過去を持っているのだ。
「エヴァンジェリンさん、魔法でなんとかなりますか……?」
不安げに、ネギくんがキティちゃんにすがるように言う。キティちゃんは六百年を生きる大魔法使い。すがりたくもなるだろう。
「いや、私は不死者だからな。治療系の魔法は苦手なんだ」
「そんな……」
「そう気を落とすな。治す手段が思い当たらないわけじゃーない。そうだな、一つの手段としては、ぼーや、近衛木乃香と仮契約するか? 潜在能力が覚醒して治癒の力が使えるかもしれんし、治癒のアーティファクトが手に入るかもしれん」
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