決戦!リオレウス ~天冠山に紅蓮咲く~
迎月の戦場でリオレウスを撃退し、無事に鱗を手に入れた。いつ襲撃が来るともわからないので、慎重に歩を進めていく。
「……ところでさっき拾った鱗、すごく綺麗だったな。あんなに綺麗に光っている鱗、初めて見たよ」
「私も初めて見ました。……『りゅうのうろこ』とは、また違った存在感ですね」
私はポーチから鱗を取り出し、空に翳してみたりして眺めてみる。先輩もしげしげと鱗を見ていて、本当に珍しい物なんだと改めて実感する。
輝く真紅の鱗……多分これは、リオレウスの鱗だ。触れてみた感じからして、過度に力を加えると砕けてしまいそうな気がする。それに、心なしか熱を帯びているような気もする……このことから、リオレウスはほのおタイプを持っている可能性があることがわかった。
ラギアクルスと同じと考えるなら「ほのお・ドラゴン」、リザードンの亜種的なものと考えるなら「ほのお・ひこう」といったところだろうか。
「それにしても、さっきショウが繰り出したグラビモス……だっけ。ハガネールでさえドロドロに熔かしたリオレウスの炎を真正面から受け止めて、しかも無傷なんて……」
「グラビモスは、体内に熱エネルギーを溜め込む習性があるんです。その習性のためなのか、グラビモスにほのお技は効果がないんです」
「そうなのか。……最後のビームも、凄かったな。リオレウスのはかいこうせんよりもずっと強そうだった」
「……あのビーム、実はただの排熱行為だって言ったら……信じます?」
「え?いや、まさか……え、マジで?」
「マジです」
「うっそだろ……?」
私も初めて知ったときは、先輩と同じような反応だった。
時折、岩ポケモンを捕食したグラビモスが定期的に口から炎を吐いたり、下腹部から高熱のガスを噴き出しているところは、移動中の訓練や野営で何度か見たことがある。
それが熱エネルギーの排出だと知ったのは、食後と排熱後でグラビモスの体温に変化が生じていることに気づいたからだ。岩ポケモンの中には「じばく」の技を使うポケモンもいるので、その自爆エネルギーが熱エネルギーとしてグラビモスの体内に溜まってしまうそうで……だから時折ボールから出して、排熱させてあげないといけない。それとは別に、白色の催眠性の効果のあるガスを噴き出すこともある。これは食後によく見られるので、食事の際に発生したガスなのだろう、と考えられる。
ただ、あの時リオレウスに向けて放つほどの威力になったのは初めて見た。岩ポケモンを食べただけでは熱で体表が赤くなるような変化は起きていなかったから、極端に熱を溜め込み過ぎるとあんなふうに変化してしまうのかもしれない。ますます排熱の必要性が高くなったわけだ。
……何かこういうの、図鑑タスクを埋めているみたいでちょっと楽しくなってしまう。最近では思い立ったが吉日とばかりに、ポケモン図鑑の空いたスペースにジンオウガたちの生態を書き記している。もちろん、グラビモスの排熱も記入済みだ。
「他のポケモンも、グラビモスのようなすごい生態があるのか?」
「そうですね……例えば、電気を操る海竜ポケモンに、ラギアクルスというポケモンがいます。このポケモンは背中にある背電殻という器官に、電気を溜めることができるんです。この電気を限界まで溜めて放たれる一撃は、同じでんきタイプのライチュウですら受けきれませんでした」
[9]前書き [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/11
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク