ハーメルン
【本編完結】コントラクト・スプラウト ~ おじさんでしたが実在合法美少女エルフになったので配信者やりながら世界救うことにしました ~
11【作戦会議】…………どうしよう
―――種が、ある。
ひとつやふたつではない。……いっぱい。ぱっと見数えきれないほどの種が、真っ暗な空間に浮かんでいる。
まぎれもない種だ。種だと思う。つやつやした黒い表皮に覆われた、アボカドの種のように真ん丸の……得体の知れない何かの植物の、種。
ぱっと見は
卓球
(
ピンポン
)
玉のように見えなくもないが……何故かは解らないが、
そ
(
・
)
れ
(
・
)
が植物の特性を秘めているということを直感的に悟った。
それらは……真っ暗なだだっ広い空間のあちこちに、ふわふわと緩やかな上下運動を続けている。
流されるでもなく。飛び散るでもなく。ただ同じ地点……高度以外の座標を維持するように、じっと浮遊している。
…………ふと。
それまでは上下移動しかしていなかった種が……いきなり一つだけ、水平方向にも移動するようになった。
いや……続いて、もう一つ。さらに続いて、もう一つ。それら以外のほとんどの種は、相変わらずその場にふわふわと浮かび続けるだけ。
どういうことだろう、何が起こったんだろうと……動き出した三つの種を、注意深く観察してみる。
艶やかだった黒一色の種には縦一文字に亀裂が走り、その隙間からは赤々とした根っこが少しずつ少しずつ伸びている。
つまりは……どうやらこの種は、根っこを張り巡らせようとしているらしい。
真っ黒な種が、その根っこを張り巡らせようとしている
も
(
・
)
の
(
・
)
。突然動き出した種が取り付いた、自在に動き回るその培地。
おれは…………
そ
(
・
)
れ
(
・
)
を、
そ
(
・
)
の
(
・
)
生
(
・
)
物
(
・
)
を……嫌というほどよく知っている。
血のように赤い根を伸ばす、炭のように黒い種の……寄生先。
それは……紛れもない、
人間
(
ニンゲン
)
だった。
………………………………
「…………………あれ」
[9]前話
[1]次
最初
最後
[5]目次
[3]栞
現在:1/5
[6]トップ
/
[8]マイページ
小説検索
/
ランキング
利用規約
/
FAQ
/
運営情報
取扱説明書
/
プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク