寮の入れ替えデュエル!
この日、圧釜コースケは困っていた。
「ううむ。」
かなりDPが目減りしてしまった。最近、DPを稼げていないのに食費はかさむ状況である。
回転寿司に行けば、25皿は食べないと満足できない食いしん坊な彼としては、大変危機的状況である。原因はわかっている。
自分があんパンを『わざわざ』購入して、しかもそれを『分け与えた』にも関わらず。
たった2000DPを『割り勘』として支払う事に渋った挙句、部屋に鍵を追加して立ち入れなくするという『暴挙』に出た、陰険水色チビメガネ。
それからだ。他の一年生も同じように部屋に鍵を追加した。そのせいで、『アンパン』を買ってきて『割り勘』するという『商売』ができなくなった。
オーブントースターなどの『ハード』は他人に頼り、自分は『ソフト』を揃える。こうすることによって快適なオシリスレッド生活を送れていたというのに…!
などと、被害者面しているが。あんパンを「割り勘」と言っておきながら「商売」と認識しているあたり、救いようがない。
分派に所属した揚羽については、特別な日だけ狙う事にした。そもそも、分派の伝承者を名乗ったおかっぱ頭の美少女に入学初日に声をかけられたことで、『彼女になってくれるのでは!』と期待したのに、一度話をして以来、関わってこなくなった『薄情者』だ。これは復讐では無く、正統な『制裁』なのだ。
だが、朝霧の方は警戒心が強くて隙を見せないので、放置する。
「なんなんスか!」
翔は、圧釜先輩の『押し掛け』に対し、鍵を自費で購入して取り付ける事で対処したのだが…。
それ以来、嫌がらせが続いていた。
オシリスレッド寮で自分の分のハゼの干物や刺身が、時折出てくるハンバーグが無くなり…海鮮丼のネタだけ無くなり、代わりに嫌がらせのようにガリが乗せられていたり。
今日にいたっては、海老フライが尻尾すら残っていない。
「くっ…。」
犯人は…ぼさぼさの髪の圧釜先輩だろう。とぼけた顔で、満足そうにお茶を啜っているのが腹立たしい。
同時に、圧釜もまた翔が自分を睨んでいる事に気づいていた。
(俺の『訪問』を拒絶するからなのだ)
ざまあみろ。すがすがしい気持ちで、圧釜は茶を啜る。
この日は海老フライ。分派の揚羽の分も『頂戴』しておいた。
「…丸藤君。少しお話があるのニャ」
「大徳寺先生?」
僕は、大徳寺先生に呼ばれて、寮長室に入った…。
そのやり取りから数日後。
「次の月一試験で、内村、安藤、蛭川は寮の入れ替えを賭けてデュエルをして貰うノーネ!」
「やったぁ!」
「つ、ついにきたぞ!」
「ずいぶん待たされたなぁ」
「何を言っているノーネ?寮の入れ替えと言ってーモ、相手はオシリスレッドなノーネ」
「えっ?オシリスレッドに勝てばオベリスクブルー入りですか?」
「オシリスレッドと寮の入れ替えデュエルなノーネ、負けたらラーイエローからオシリスレッドに格下げなノーネ」
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