プロローグ
唐突ですが皆様は“転生”と言う言葉をご存知でしょうか。
輪廻転生、異世界転生、異種族転生....
この全てに共通して言えるものは、そのどれもが不可解で非現実的で、しかし夢のあるものだと言うことです。
いわゆる小説やアニメ、漫画など、現代の創作物に多く登場する言葉であるこの単語に多くの人々が想いを寄せたことでしょう。
かく言う私もその1人で、永遠の厨二病患者だった私が常日頃妄想していたような、次の瞬間にでもトラックに轢かれそうになる女子高生を庇って……などというかっこいい死に方ではなく、タンスの角に小指をぶつけ、その衝撃でタンスの上から落ちてきた花瓶の追撃によって命を落とすことになる。そんなあまりにもちっぽけな短い生涯を終える瞬間まで、何度も異世界直行トラックからの異世界転生を夢見ておりました。
しかしその一方でどうせ来世など存在しない。転生など所詮創作物。人生は一度きりで魂など存在せず、我々の人格の全てはこの脳細胞に詰まっているのだ、と考える夢のない人間でもありました。
しかしどう言うわけか、神のうっかりか、悪魔の悪戯か。
「伏せろーーーーーー!!!!!!」
私は異世界転生というものを果たしたようです。
否、果たしてしまったようです。
つい先程塹壕に投げ込まれた手榴弾の爆発によって頭を打ち付けた衝撃で前世の記憶とやらを取り戻すことに成功。
幼少期の頃から持っていた謎の記憶とこの世界との相違点....人間に本来あるはずのない異なる動物の耳や尻尾などの特徴がついていたり、ファンタジー世界の魔法のような不思議な技術が存在したり。そんな違いからくる違和感の正体がつい先程、やっと分かったのです。
あ、これ異世界転生してるわ....と。
「撤退だ!!退けーー!!退けーーー!!!」
ここは弾幕や色鮮やかな謎エネルギーの飛び交う泥臭い戦場。
そんな中、大声をだして後退していく熊耳軍人たちの中に1人紛れ込んでいる黒髪のケモ耳。
これ、私です。
とりあえず自己紹介といきましょうか。
名前はアルハイム。
種族はループス。──ラテン語で狼の意──つまり犬耳というか狼耳を持ったケモ耳種族ですね。
性別は...胸もないしこんな名前ですが一応女性。
記憶によると家庭内での後継問題やらの背景があったそうな。女の子に男性名つける家庭ってとんだ両親ですね。アルくんorちゃんとでも呼んでください。あ、やっぱちゃん付けはなしでお願いします。恥ずかしい。ちなみにその両親はとっくの昔にお家騒動で死んでいるようですね。
年齢はおそらく18歳。身長は165ちょいで体重は52、バストは....ここまでは言わなくていいですよね。
見たところ転生した世界は彼方此方で戦争が起こり差別なんかの問題も多く、前世に比べて色々と殺伐としていて、真っ黒な石、『源石』から取れる謎エネルギーを利用した魔法もどき...アーツやら機械やらが存在する。そんなダークファンタジーモノな世界でしょうか。
ところで胸を膨らませるアーツとかないですかね???
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