ハーメルン
起きたらマさん、鉄血入り
11.解り合うのは命が助かった後でも遅くはない

「ゴミ漁り共がぁ、調子に乗りやがってぇ…」

苛立ちを紛らわすようにブルック・カバヤンは手の中の缶を握りつぶした。勢い中身がこぼれ手をぬらす。

「ちっ、おい!」

「……」

潰れた缶を投げ捨て手をかざす。すると横で傅いていた扇情的な衣装に身を包んでいる少女が恭しく其の手を取り、舌を這わせた。

「遅え!」

そうブルックは叫ぶと少女を殴りつける。それでも気が済まなかったのか、倒れ伏す少女を蹴りつけた。

「何奴も此奴も馬鹿にしやがって!この俺を誰だと思っていやがる!!ブルワーズのブルック様だぞ!あぁ!?」

派手に吹き飛び動かなくなった少女を睨み付けながら、ブルックが吠え立てる。壁にもたれかかりながら爪を磨いていたクダル・カデルが笑いながら声を掛けた。

「少し落ち着け、ブルック」

「落ち着けだぁ?ここまでコケにされてどう落ち着けってんだ!!」

赤ら顔で叫ぶブルックにクダルは近づくと、笑みを消し真剣な表情で諭す。

「露骨な挑発に乗るんじゃ無いって言ってんのよ。連中は今俺達をこの城から引きずり出そうとしているの、態々付き合ってやる必要はないわ」

「ならどうする、連中を黙って見過ごせってのか?」

そう問い返すブルックに、笑みを浮かべたクダルがタブレットを取り出してその内容を見せる。

「搦手が使えるのは連中だけじゃねえさ」

そこには対ブルワーズを想定した作戦内容の詳細なデータが映されていた。

「クダルこりゃあ」

「でかい会社だけあってコロッとなびく奴も簡単に見つかったぜ。航路も居場所も解ってんなら後は食い散らすだけよ」

嗜虐的な笑みを浮かべながらクダルは舌なめずりをした。それを見て、ブルックも漸く落ち着きを取り戻す。

「やっぱり御前は最高だぜ、クダル。ゴミ漁り共め、皆殺しにしてやる」

「簡単には殺すなよ。ブルワーズを舐めた奴の末路をしっかり宣伝しなきゃならないんだからねえ?」

二人の下卑た笑い声がブリッジに響き渡った。




「とまあ、今頃間抜け共はご機嫌に襲撃準備をしてるだろうよ」

愉快そうにトドがそう口にする。本当な、この程度の策が上手く行くとか本気で脳が足りないとしか思えん。あいつらどうやって組織をでかくしたんだ?

「えっと、つまり?こないだの会議は?」

混乱するノルバ・シノに対してトドが溜息を吐きながら苦言を呈する。

「シノよぉ。だから筋トレばっかじゃなくてオツムも鍛えろって言ってんだろ?本社でやった会議はブラフ、ニセモノ、嘘っぱちなの!その情報をわざと流して、連中を巣から誘い出すんだよ」

「流すって、どうやってそんなの知らせるんだよ?」

「そこはこのトド様の名演ってヤツよ。待遇に不満を持ってるフリをちょいとすりゃぁ、連中すーぐに引っかかったぜ。あ、マっさん、これそん時の報酬ね」

「名男優への報酬だ、有り難く貰っときなさい」

「さっすがマっさん!聞いたなお前等?帰ったらぱーっとやるぜ!勿論俺のオゴリだぁ!」

トドの言葉に歓声が上がる。ほほう、中々の人心掌握術。案外部隊長とか向いてるかもしれん。頭も回るし今度新設の隊とか任せてみようかな。急激に人員は増えたけど、ウチって幹部候補が滅茶苦茶手薄なんだよな。

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