第5話 襲名アインズ・ウール・ゴウン
「<上位道具破壊>!」
ナザリック地下大墳墓玉座の間において、至宝の一つ、世界級アイテム<諸王の玉座>に座した死の支配者は、一堂に介した下僕たちの前で、やおら一本の柱から掲げられた紋章旗を指差し、そして破壊した。
「オレは名を改めることにした。
アインズ・ウール・ゴウン……これからはアインズ、と呼んで欲しい。
異議あるものは申し出るがいい。」
恭しく守護者統括アルベドが跪礼を執って復命する。
「……ご尊名承りました。
アインズ・ウール・ゴウン様万歳!
皆の者、忠誠の儀を!」
その場に居合わせるすべての有象無象が声高らかに復唱する。
「「アインズ・ウール・ゴウン様万歳!
死の支配者に栄光あれ!」」
そして散会となったのだが、アインズは、皆の音頭を取ったアルベドの瞳にほんの一瞬見えた形容し難い不穏な何かが気になって、彼女を呼び止めた。
「アルベド、ちょっといいか?」
「はい、何でしょうか……アインズさ……
え!」
歩み寄ったアルベドは、不意にアインズに腕を掴まれ声を上げたが、次の瞬間、気づけば彼の自室にいた。どうやら、リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンの力で強引に連れ込まれたようだ。
「アルベド。」
名を呼ばれ、改めて跪礼を執る。
「オレは、異議ある者は申し出よ、と言ったはずだ。」
アルベドは俯いたまま顔を上げない。
「……誤解するな、責めているわけじゃない。
おまえに不満があるのであれば、それを知っておきたいと思ったからだ。」
とアインズはいつになく優しげに言う。
ようやくにして顔を主に向けたアルベドは、意外なことにその瞳に涙をいっぱいに浮かべていた。
「……何故で御座います?
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