ハーメルン
世界の変化に追いつけない
第十話

ゴブリンはパソコンに当たると吹っ飛び、動かなくなると、消えた。
何消えたのかは分からないが、考えるより先に大きいゴブリンにもぶん投げる。
大きいゴブリンは、パソコンに棍棒を当ててはじき飛ばした。パソコンは、轟音をたて、壁に埋まった。
(威力がかなり高い。近づくのは危険そうだ。)
距離を取りながらいろいろなものを投げる。パソコン、机、ファイルなど、とにかく投げる。パソコンや机は弾くがファイルや軽いものは防がないようだ。
それならばと、ボールペンを顔近くに投げまくる。大きいゴブリンの目に一本刺さり、ゴブリンは顔を押さえながらがむしゃらに棒を振り回す。
大きいゴブリンの棒は近くのファイルに当たり、先生の一人に当たった。先生は吹き飛び、壁にあたり動かなくなった。
これでは倒す前に跳ね返されたものだけで先生たちが倒されてしまう。
物を投げるのをやめ、標的を俺に絞らせるために近づいてひたすらにテーブルで殴る。
「グオオオオオオ」
ゴブリンは、雄叫びをあげながら俺に向かって棍棒を振り回す。当然近づいているので腹に当たる。
「かはっ」
血が口から出てくる。どこか骨が折れているがそれでも、スキル≪不死≫を信じて殴りつづける。痛みも深夜と比べればたえられる。
「ああああああああ!」
角で殴り、ゴブリンの頭が貫通した。すると大きいゴブリンは、消えた。
ついに倒せたようだ。脳内麻薬がおさまり折れた骨の痛みが主張しはじめるが無視して物を投げはじめる。パソコンはもうないのでテーブルを投げ、先生達と戦うゴブリンを減らしていく。
「死ね!」
先生が突き出した箒が止めとなり最後の一体が死んだ。
≪ホブゴブリン一体とゴブリン9体を討伐しました≫
≪レベルが上がりました≫
≪スキルを獲得しました≫
≪新たな職業が解放されました≫
≪職業レベルが一定に達したため職業を変更できます≫
頭にそんな声が響き、俺と先生は、ゴブリン達に勝利した。

職員室は散々な様子だった。パソコンは粉々、物は散らばり、机はボコボコだ。壁にはパソコンやファイルなど様々だ。ふと、赤黒い液体が見えた。その先を辿るとそこには頭の潰された女の先生が倒れている。他には二人の死体があった。ホブゴブリンによって2名、そしてゴブリンによって1人の合計3人もの人が死んでしまった。臭いが満ちて吐き気がする。周りを見ると、先生達は何故か窓を見て呆然としていた。俺も釣られて窓を見ると、さらに30体以上のゴブリンがこちらへ向かってきていた。




真っ先に気を取り直したのは、梅田先生だった。
「全員二階に引くぞ!」
その声で全員がはっとなり一目散に逃げはじめた。先生達は満身創痍で戦えないと判断したのだろう。
「深井!お前もはやく!」
叫ばれ、俺も梅田先生について行った。

二階につくと先生達は階段に向かって椅子やテーブルをひたすらに投げていった。そうやってのぼってこないようにするつもりだろう。
教室からは生徒達が出てきている。
「純!大丈夫か!」
渚が三階から降りてきて、駆け寄ってきた。後ろには、正義、香菜、明子もいる。
「おう、無傷だ」
≪不死≫によって傷はすでに消えているため、痛みもない。
「純くん。なんでこんな危ないことするの!」
「純、無茶はダメ」
「純、本当にやめてくれ」

[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/2

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析