第十八話
姉さんは優さんの気絶を確認すると、こちらへ向き直った。あの圧は綺麗サッパリ消え去り体の硬直が溶けた。
「ごめんね」
「どうして?お礼は言っても文句は言わないよ?」
「純、人が怒られるのを見るのが苦手なのに見せつけちゃってごめんね」
そんなことで文句を言うわけがない。俺のために怒ってくれたのだから。
「大丈夫だよ。むしろすっきりした」
「そ」
姉んは優さんを軽く蹴った。
ヒッ
「そうだ。純、スキルの上げ方わかったわよ」
「え?本当?」
「ええ、使えば上がっていくようね。配信してたら演技のレベルが上がっていったわ」
突然の新情報。さっきの圧もその一つなのだろうか?
「なるほど。じゃあしばらくは隠密と変装と鑑定を使い続けて見るよ」
「あとね、ステータス何だけど…」
名前 深井 美香
ステータス
レベル 2
攻撃 4(直接2 間接2)
素早さ 4
防御 4(直接 2 間接 2)
魔力 5
職業 演者2
スキル 声真似1 演技5
称号 なし
演者は魔力が上がりやすいようだ。そして演技が5まで上がっている。
「やっぱり2ずつあがるっぽいね」
「そうね。職業レベルももしかするとレベルが上がる度に同じだけ上がるのかもね」
「じゃあ俺、部屋に戻るね」
「純。ちょっと聞いていい?」
優しく姉さんは問い掛けてくる。
「なに?」
「あの大男を純一人だったら倒せたと思う?」
何故そんなことを聞いてくるのだろう。第一俺は一体一でやられまくっているのに。
「あの時、後ろに私達がいたからあんなにばか見たいに突っ込んで行ったんじゃないの?少しも近づかせないために」
「…」
「もし一人なら攻撃を避けて刺してができたんじゃないの?」
どうなのだろうか。確かにあの大男への第一印象は遅いだった。武器も特にリーチが長いものでもない。攻撃だって少なくてもダメージは与えられていたのだ。進化され、一気に不利へとなったが、そうでなければいけたはずだ。
ああ、そっか。戦い方を間違えていたのか。
「いけると思う。遠距離攻撃があるなら確実に、なくても多分いける」
「そう」
姉さんはたっぷりと間をおいて、こう言った。
「一人でレベル上げにいってみたらどう?」
「一人で…?」
「そう。一人で」
「なんで?」
「純はさ、もうあんな思いしたくないのよね?」
「うん」
「なら、足手まといを連れていかなければそうなる前に逃げられるでしょ。純は素早さが高いんだから。遠距離攻撃だって硬貨を袋に纏めて投げるなら結構な威力が出るでしょうし、まだ昼前なんだから明日に備えるべきじゃない?レベルを上げていかないといつかまた同じ状況になるかも知れないからね」
姉さんはそう言った。
そうか、次か。化け物が怖い。あんな思いはしたくないし、戦うことすら避けたい。でも強くないと、同じような状況になりかねない。何故か助かったけど次もそうなるとは限らない。まだ3日だ。たった3日しかたっていない。ここで終わるわけがない。
やろう。やってやろう。
「わかった」
俺は震える心を押さえつけ決意した。再び、あの地獄に会わないようにするために。
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