ハーメルン
Arco Iris
同じ始まり

超包子を後にした祐はタカミチからの連絡を受け、学園長室に向かっていた。すれ違う人々も先ほどの映像を見たのだろう。どこかその表情には不安や困惑が見える。都市全体がざわめいているのを感じながら、祐は目的地へと急いだ。


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学園長室に着いた祐はドアをノックする。すぐに返事が返ってきた為、祐はドアを開けた。

「失礼します」

「二日続けて呼び出してすまんな祐君」

「気にしないでください、こんな状況なんですし」

そう返し部屋を少し見渡すと、そこには学園長、タカミチ、そしてスーツを着た知らない男性がソファに座っていた。
年齢は40代前半ぐらいだろうか、どこか貫禄を感じさせる男性だ。

「祐君、紹介するよ。彼は太田源八さん。今回の爆破事件を担当している刑事さんだ」

タカミチが紹介してくれた男性がこちらを見て会釈をした。それに初めましてと返す祐。源八は何で今ここに学生がといった顔をしていた。

「太田さん、彼は逢襍佗祐君。麻帆良学園の高校一年生です」

「ああどうも、太田源八と申します。えーと、高畑先生?なぜ今学生さんを?」

そう言われたタカミチは祐を自分の横に座らせて、祐の肩に手を置いた。

「彼は学生ではありますが、裏の世界にも深く関わっている子です。今後顔を合わせる機会も増えるかも知れないので、ご紹介をと思いまして」

「と言うと魔法使いさんで?」

「いいえ。厳密には違いますが、彼は超能力者という事になっています」

二人の話を黙って聞いていた祐は頃合いを見計らって声をかける。

「タカミチ先生、太田さんは魔法関係者の方なんですか?」

「いや、彼は一般の方だよ。ただ警察と我々(魔法使い)の橋渡しをしてくれているんだ」

「俺としちゃあ魔法とか超能力とかってのはからっきしなんだが、何の縁かそういうポジションになってる」

タカミチの紹介に源八は頭を掻いた。それを聞いて祐は納得する。前にタカミチが所属している魔法使いの団体『悠久の風』と警察が協力して事件の解決に当たったという話は何度か聞いた事がある。おそらくその時からの縁なのだろう。

「えっと、そちらのアマタ君だっけ?この子はどんな魔法…では無かったか。どんな力を使うのか聞いても?」

「そうですね。祐君、良いかい?」

タカミチに「はい」と答えた祐は源八の方を見て口を開いた。

「虹を出せます」

「「「………」」」

学園長室に沈黙が訪れた。呆れた顔をしていた源八だが、その表情がだんだん変化していく。

「いや待て、虹って言ったか…虹…まさか君が」

「太田君、あの日犯人達を捕らえ、爆発を抑え込んだのは他でもない彼じゃよ」

虹という単語に心当たりがあった源八がまさかと声をあげると、近右衛門が詳しく説明した。源八は額に手を当てる。

「はぁ〜、噂の虹の正体がまさかこの子だったとは…」

「どうもその節はお騒がせしまして」

頭を下げる祐に源八は顔の前で手を振った。

「いや良いんだ。確かに騒ぎにはなったが、君があの爆発を何とかしてくれたんだろ?てことはフードコートのあれも…」

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