最終話 ユメヲカケル
もう、なんにもきこえない。
こきゅうは、すってるのかはいてるのか、わからなくて。
あしは、しっかりうごいてるのか、わからなくて。
さげたあたまは、いまにもあがってしまいそうで。
けれど。
けれど。
みんなにおしえてもらったことを、しっかりとやりきって。
それでも。
それでも。
もう、限界なんだなって。
ここがきっと、ウララの限界。
あたまをふせて、下をむいてるから、ゴールまであとどれくらいかもわからない。
このいっぽか、つぎのいっぽか、そのつぎか。
わからないけど、もう足がとまっちゃいそうで。
でも、きっともうすこし。
もうすこしで、ゴールになるはず。
だけど、もう、
限界。
がんばったよ。
ウララ、がんばったよね。
だから、ほめてくれるよね、トレーナー。
ここで、あしをとめても、きっと………
そんな、よわいウララがちょこっとむねのうちにわいてくる。
『─────────────』
でも、そんなウララのみみに。
なんだかとても、ききおぼえのある声がした、気がして。
あしをとめるまえに。
ちょっとだけ、顔をあげちゃった。
────────────────
────────────────
「いっけええええーーーー!!!!ウララ、走れぇぇええええええええええ!!!!止まるんじゃねぇーーーっ!!!」
「止まらないでウララちゃん!!!そのまま!!!いって!!!走ってぇぇーーーーーーーっ!!!」
「頭を下げて!!!息を入れて、そのまま走り抜けてくださいまし!!!ウララさーーーーん!!!」
「勝てぇぇ!!!負けるなウララぁーーーーっ!!!!走れぇーーーーーーーーーっ!!!!!」
ゴール前の、観客席の、最前列。
ゴールドシップが。
スペシャルウィークが。
メジロマックイーンが。
ナイスネイチャが。
泣きながら。
喉が張り裂けそうになりながら。
それでも、大声で。
出せる限りの大声で。
ウララの勝利を願い、叫ぶ。
「負けるなーっ!!大穴ウマ娘になって見せろ、ウララーーーッ!!!エデンをアタシに見せてくれーっ!!!」
ゴールドシップが叫ぶ。
長距離のコツを教え、その後も遊び相手や、トレーニングに付き合った、ゴールドシップが大粒の涙をこぼしながら叫ぶ。
「走ってーーーっ!!勝って、いけーーーーっ!!!ーーっ!!いけるよウララちゃーーーーん!!!!」
スペシャルウィークが叫ぶ。
芝のコツを教え、流星を見届けて、息抜きなどでも共に時間を過ごした、スペシャルウィークが大粒の涙をこぼしながら叫ぶ。
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