ハーメルン
アプリ産です。通っていいですか?
アプリ産です。通っていいですか?

「あー、ここって何処だろ?」

 最初の頃は違和感しかなかった尻尾と耳を動かしながら、急に路地裏に投げ出された僕は外の賑わいを見てそう呟いた。

 前回のあらすじ? はい、トラ転。

 詳しくいうとテンプレみたいな死に方をした。買い物に行こうと曲がり角を曲がったらトラックの操作をしくじったのか荷台部分がドリフトしながらこちらに迫っていた。まぁ躱せるはずもなく轢かれて死亡だよ。
 それで何か転生した。ウマ娘に。しかもアニメの世界じゃなくて誰かのアプリの中のウマ娘に、だ。
 最初は鏡に映る自身の姿から既存のキャラに憑依してしまったのかと焦ったが時間が経つにつれてそれは違うと理解した。
 自身のキャラが本来話す言葉と俺が話す言葉が違うのだ。このアプリの世界だと持ち主が俺を選んでプレイしている時は一切の自由がなくなる。虚空に向けて話し始めるわ、勝手に身体も動くわで最初のうちは凄く大変だった。特に一番困ったのは景色が急に変わることだ。トレセン学園にいたのに瞬きしたら外にいるしで次に瞬きしたらゲーセンの中だよ?普通に怖いわ。
 それも今はもう慣れたものでボケーとしながら勝手に動く身体と一緒にレースを走ったり、ウイニングライブをしている。中身がどんなにだらけていても外はキリッとしているのは楽だった。
 まぁこんな感じで生活?をしていたのだがある日自分のステータスを見れることに気づいた。そこで初めて自分のことを知った。

「これって、明らかに改造されてるよなぁ。」

 ステータスの表記は賢さ以外、表示されていない。そして何故か賢さはFだった。どうせ残すならG+にしろよ。後ろに宇宙背負ってやるから。スキル欄は空白が一つだけあるがレース中の急な加速などからスキルが何も無いということはないだろう。多分全部盛りしたとかそういうのだと思う。

「このアプリの持ち主は一体何を考えているのやら……。レースの勝利ポーズとか多分自分で作ってるだろ。」


 自分が改造ウマ娘というのは分かったがそれで何か変わるということはない。強いて言うなら自身の一人称が俺から僕に変わったことだろう。勝手に話す時の一人称が僕なのでそっちの言い方の方が楽になったからだ。
 持ち主がいる時は身体が動くままにレースなどに出て、いない時は一切動かない他のキャラに話しかける日々。アプリが終わるまでずっとそれが続くと思っていたのだが急に状況が変わった。
 持ち主が改造データ。つまり僕を消したのだ。それは僕がアプリから消滅することを意味する。

「だからってあんな消し方はないでしょ。近くにいたテイオーに泣きついちゃったじゃん。」

 ノイズがそこら中にはしっている電脳空間で愚痴る。どうせ消すなら一気に消して欲しかった。何故身体の一部が消えていく方式にしたのやら。

「僕はどうなるのかな?このままゆっくり消えるのか、それともこの空間で生き続けるのか。」

 幸い身体は消される前の改造ウマ娘のままだがこの何処を見てもノイズだらけの世界にずっといるのはいつか気が狂いそうだ。何か暇を潰せるものがないか探しに僕は動き出した。






「それで何で現実に飛び出てるのかなぁ?」

 どれだけの時間をノイズだらけの世界で過ごしたかは分からない。ある日偶然ノイズが無い場所を見つけて興味本位で近づいたらこれだ。

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