ハーメルン
アプリ産です。通っていいですか?
二人操縦ですがウマです。通っていいですか?

「ここが俺の家だ」

「へぇ〜ここが……。大きくない?」

「ウマ娘一人増えた程度ではどうってことないと言ったろ?ほら、入るぞ。」

 予想していた家より大きな家の前でアホ顔を晒していると、上島さんが家の中へと入っていく。慌てて後をついて行くとそこには広々とした空間が広がっていた。

「うわぁ。僕、こういう家の中って初めて見たなぁ。慣れなさそう。」

「そうか、なら今のうちに慣れておけ。ここが暫く君の暮らす家になるからな。」

「あら?歩さん。帰ってきたんですね。おかえりなさい。」

「今さっきな。ただいま。それから君に紹介したい子がいる。」

 家の中を見渡していると奥から一人のウマ娘が僕たちの方に歩いてきた。親しげに上島さんに話しかけていることから恐らくこのウマ娘が上島さんの奥さんなのだろう。そんなことを考えてると背中を押され、一歩前に出される。

「初めまして。この人の妻のコスモグラールと言います。気軽にコスモって呼んでね。貴方のお名前は何ですか?」

「えっと。僕の名前はライスモドキって言います。とっても似てるけど別人です。」

 ずっと被っていたさっきのレースでもげたハリボテの頭を外し、コスモさんに素顔を見せる。

「………確かに似ているわね。だけど貴方は貴方よ。気にすることはないわ。……ところで、そこの男に何かされていないかしら?」

 にっこりと笑ったコスモさんから黒いオーラのようなものが噴き出ている幻覚が見える。上島さんのことも歩さんからそこの男に変わっていて、突然の変化に対応出来ない。

「お、おいコスモ。俺は別に何も「あらあらあらあら、歩さん。貴方には聞いていないわ。」……はい。」

 抗議しようとした上島さんの言葉を途中で黙らせ、僕にズイッと顔を寄せてくる。爽やかな笑顔だが目が全く笑っていない。

「ライスちゃん?この男に本当に何もされてない?黙っていなくても大丈夫よ。何もさせずにぶちのめすから。」

「ヒェッ」

 何に反応してコスモさんがこうなっているのか分からない。上島さんに助けを求めようと視線を向けるが、彼も冷や汗を垂らして必死に考えているようだ。
 目を回して必死に考える。コスモさんは何かを勘違いしている。だがその何かが分からない。

(何か……って、あ。)

 徐々に強くなってきているコスモさんのオーラに無意識に目を背けてしまい、その先にあった鏡に映っている僕の姿が見えた。
 さっきのレースでほんのりとかいた汗。それを乾かすために少し着崩した服。転倒によってついた埃。そしてハイライトが全く無い目。
 上島さんの方を見ると彼も僕を追いかけてきたせいでほんのりと汗をかいていて、同じように少し着崩している。そして何処か満足げだ。

(これって見方によっては事後なのでは?)

 コスモさんの勘違いを理解して思わずスンッとなる。彼女の脳内では色々と起こっているのだろう。ウマ娘をどうやって組み伏せるんだとか突っ込みたいことが結構あるが、まずはこの勘違いを正さないと上島さんが危ない。
 少し距離を取ろうとした上島さんがコスモさんに捕まって、懐から取り出された縄で締め付けられている。

「僕が走ってる時にお兄さんに会ってね、そのまま気が合って家にお邪魔したんだ。」

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