ハーメルン
アプリ産です。通っていいですか?
君が僕を呼ぶのなら、押し通るよ。


「すっごく怒ると思う。」

 そう答えると上島さんは優しい顔に戻ってまた僕の頭を撫でる。

「そうだ。だからラモは気にせずに走ればいい。きっとトウカイテイオーもそれを望んでいる。」

「……分かった、出るよ。有名なウマ娘も無名のウマ娘もその全てを抜き去って、僕はテイオーに会いに行く。」

 ソファーから立ち上がり上島さんの方へ向く。本気でレースに挑む時の雰囲気を出すと彼が息を呑んでこちらを見ている。
 少し距離をとって、周りに物がないのを確認すると両足をかかとにつくかどうか辺りまで近づけた後に両手を肩幅より少し広めで前に広げて手は腰あたりで指先は少し上に。そして顔は少しだけ口角を上げる。製作者が僕にくれた勝利ポーズだ。アプリだと確かこの後に両目からアニメのライスシャワーのような感じで黒い炎が出ているという厨二感満載のポーズである。
 両手を更に広げるとエルコンドルパサーのポーズに似ているとか、このポーズはすしざんまいか?とか思ったが今では愛着がある。

「はは、世間では帝王による支配のポーズって言われてるけどラモの方が似合っているな。」

「僕はそんなの考えたことないけどなぁ。でも、ありがとう。このポーズは愛着があるんだ。」

 雰囲気を霧散させ、上島さんの隣にまた座る。彼はこちらを見た後に懐から紙を取り出した。

「そんなラモにこれだ。……ってどうしたんだ?まだ何かあったのか?」

「いや、ごめん。今回のは本当に気にしないで。」

 またテストかと思って距離を取ってしまった。いそいそと距離を詰めて上島さんがこちらに差し出した紙をおっかなびっくりと受け取る。

「これって……!」

「必要だろ?思いっきり走ってこい。細かいことは俺に任せろ。」

 その紙はURAファイナルズの出走登録だった。保護者の名前欄は上島さんの名前が書かれていて、後は僕の名前を書くだけだった。

「〜〜〜!!!ありがとう!!お兄さん!!」

「ま、待て!ラモの力で飛びつかれたら!!グフゥ!?」

「お兄さん?しっかりしてお兄さん!?……返事がない、ただのお兄さんのようだ。」

「あ、コスモさん。これは違うんです決してわざとじゃなくてだからその縄はやめてほしウワー」

 コスモさんって怒ったらすっごい怖いんだね。いやほんとごめんなさい。

















『──!強い!──の一人旅だ!』

「はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!」

 芝のコースを死ぬ気で走る。なのにあの子との距離が全く縮まらなくて。ボクの前を走るあの子はとても速くて、手を伸ばしても全然届かなくて。

『──がゴール!一着です!!』

「待って、お願い、お願いだから待ってよ。」

 あの子が遥か先でスピードを緩めてボクの方へ振り向く。その顔はノイズが走っていてどんな表情をしているか分からない。

「──?───!───。」

「消えないで!っ!ボクの脚!もっと速く走ってよ!」

 徐々にあの子がノイズに飲まれていく。その光景があの時と一致していて。それが嫌で無理を承知で力を込める。

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