ハーメルン
気がついたら祟り神様(純粋)と一緒に呪術の世界にいた話
17.瑠風のお仕事見学 サーヴァント合流編
五条先生の忠告を守りながら、そこら辺に散らばっている呪霊をゲイ・ボルクを使って始末していき、時には太歳星君に呪力によるサポートを施して、一気に蹴散らしていくこと数分。
私の視界に一人の少女の姿が映り込む。鍵穴付きの扉からタコともイカとも形容することができない触手を呼び出して呪霊を捉え、引きちぎり、すり潰し、叩き壊しているその子は、間違いなくアビゲイルだ。
「アビー!」
「!あら、マスター!あなたの方から合流してくれるとは思わなかったわ!待っててね。すぐにこいつらを消してあげるから!!」
少女の名前を呼べば、金髪碧眼の愛らしい少女から、銀髪で薔薇色の瞳を持ち合わせている狂気の少女へと変貌していたアビゲイルはすぐに返事を返し、その場にいる呪霊の足元全域に鍵穴付き扉を出現させて、無数の触手で呪霊を殴殺する。
そして、この場にいた呪霊が全ていなくなったことを確認しては、私の方へと駆け寄ってきた。
うん、いくら小さな少女でも、やっぱり第三再臨姿はちょっと露出が多すぎるな……。
流石にそれはいかがなものか……そう思った私は、着ていた呪術高専の上着を脱ぎ、アビゲイルにさっさと羽織らせた。
「マスター?」
「あんまり女の子が肌を露出させたらダメだよ。」
「別に平気なのだけど、マスターが貸してくれるなら、遠慮無くこの上着は使わせてもらうわ。それよりマスター、見てくれた?私、いっぱい呪霊を倒したわ!私の呪力もこんなに大きくなったの!もっともっと呪霊を倒して、全部全部私の呪力に変えてみせるわ!そうすればあなたの役に立てるもの!!」
「そうだね。でも無茶だけはしないように。いくらサーヴァントの身であっても傷を作れば弱体化するからね。そこら辺はちゃんと覚えておいてね。」
「……わかったわ。マスターがそう言うのであれば、無茶をしないように頑張るわね。それよりマスター。少しいいかしら?さっき気づいたことなのだけど、この廃村、何か大きな力が眠っていると思うの。お父様とはまた違った、強大で悍ましい何かの力よ。」
「……そうか。わかったよ。」
アビゲイルから告げられた言葉に、思わず五条先生に目を向ける。すると、五条先生は無言で遠くを見つめたあと、小さく頷いた。
「うん。任務の難易度が上がってるみたいだね。もしかしたらアレがあるかもしれない。」
「アレってまさか……」
「そう。特級呪物の一つ、“両面宿儺の指”のうちの一本だ。」
「!!」
五条先生の言葉に、恵くんが言葉を失う。私も少しだけ目を細めた。
特級呪物、“両面宿儺の指”……呪術廻戦の原作に大きく関わるアイテムの一つ。
四本の腕を持ち合わせていた呪いの王。その指を喰らったことにより、物語の主人公である虎杖悠仁は呪いと戦う世界へと身を投じることになる。
そして、そんな悠仁が経験することになるのは数多くの出会いと別れ。打ち拉がれてしまうような、重苦しい試練とのぶつかり合い。
なんともまぁ難易度がハード突き抜けてルナティック並みの世界である。
……物語の元凶となる宿儺の指がこんなところにあるとは思わなかった。
まぁ、本当にあるかどうかは、目で見て確かめないといけないんだろうけど。
「とりあえず、コヤンスカヤとも合流しましょう。もしかしたら詳しい話が聞けるかもしれません。バラけた時、彼女はセイが大凶と告げた方角の方へと移動していて、今もその付近で呪霊を倒しているようですよ。」
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