ハーメルン
気がついたら祟り神様(純粋)と一緒に呪術の世界にいた話
02.セイと瑠風の何気ない日常 part.Ⅰ
それは、なんとなく見た夢だった。
夢の中の私は、おそらくだけど小学生くらい。なんの変哲もない日常生活を送りながら、夕方の道を歩いていた。
『オイデ……オイデ……イッショニアソボウ?』
『オイデ……オイデ……ソッチジャナイヨ。コッチダヨ。』
『アソボウ……アソボウ……ヒヒ……ヒヒヒヒヒ……!!』
『……………。』
暗くなり始めた黄昏時。辺りに人はいないのに、聞こえてくる声があり、それらはとても不気味なものだった。
小さい私は、表情を歪めながらも、その声を無視して歩いている。それでも不気味な声は止むことがなく、ずっとずっと聞こえている。
『アソボウ……アソボウ……ソッチジャナイヨ……コッチダコッチアソボウヨ』
─────……うるさい。
『ドコイクノ?ネェネェアソボウヨ。』
─────……うるさい……!!
『アソボウアソボウアソボウアソボウアソボウアソボウアソボウアソボウアソボウアソボウアソボウ……ヒヒヒ…!!ヒヒヒヒヒヒ!!』
─────うるさい煩い五月蝿い煩いウルサイウルサイウルサイ!!私に話しかけないで!!
『大丈夫か?顔色がすごく悪いぞ?』
『!!』
不意に聞こえてきたのは子どもの声。驚いて声の方へと目を向けてみると、そこには一人の男の子がいた。不思議な色合いの髪と目をしている、不思議な服を着た男の子だ。
私が反応したことに気づいた彼は、にぱっと無邪気に笑って見せる。
『はんなまー!ワガハイは太歳星君なのだ!そっちはなんだ?』
『……
御子神 瑠風
(
みこがみ るか
)
。』
『ふむふむ、なるほどなぁ……。じゃあるかるかって呼ぼ!なぁなぁるかるか。どうしたんだ?顔色が真っ青だぞ?』
『……変な声が………聞こえて……怖くて……』
『変な声?あ、そっか!ここら辺にいる奴らがるかるかに悪さしてるのか!それならワガハイに任せるのだ!こんな奴ら、こうしちゃえばいいからな!!』
その瞬間、一瞬の気分の悪さが訪れたかと思えば、不気味な声が聞こえなくなった。その中で見えたのは、異形としか思えない大きな手。不思議で不気味な霧。そして、モヤのようなものと、それが霧散する瞬間。
それだけで私は、目の前にいる男の子に助けられたのだと理解した。
『うん、これでよし!もうるかるかに悪さをする奴はここにはいないぞ!』
『…………。』
『るかるか?どうしたのだ?』
再びにぱっと無邪気に笑い、私の方を振り返った男の子。唖然とその子を眺めていると、彼は不思議そうな表情をして、首を傾げた。
『……どうして……助けてくれたの?』
口から出たのは一つの疑問。普通は感謝を述べるべきなのに、最初の一言はこれだった。
『んー?るかるかがすごく嫌そうだったから助けたんじゃん。だって顔が真っ青だったし。あとはそうだなー……ワガハイと話してくれる人がどこにもいなかったから、るかるかがワガハイと話してくれたのがすごく嬉しかったのだ!なぁなぁるかるか!るかるかが嫌だなって思うものは、全部ワガハイがなんとかするし、るかるかが傷つくようなことや、悲しむことから助けてやるから、ワガハイと友達になってほしいのだ!』
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