Stage.3 リサーチ ★番外付
<REAL SIDE>
「ハバネロもいいが、かっぱえびせんってのもまた……あれ? もしもし? おーい!」
なんだよタツミの野郎。話の途中で携帯ブチ切りしやがって。
……しかも繋がんねえし。まめちち発見記念に、大サービスでいろいろナビってやろうと思ったのにさ。
「まあ俺もヒマじゃねえから、いいんだけどよ」
俺はメシ代わりにスナックを平らげ、まとめてコンビニの袋に突っ込んだ。えーと、こういった不要物の処理システムは、かなり整備されていたはず。
狭い公園内を見渡すと、隅の方に白いカゴが2つ並んで設置されていた。緑に白字で「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」と書かれたプレートが取り付けられている。一応「燃えるゴミ」の方に袋を放り込む。
「あれ、タツミ? なにやってんの?」
「ハイィッ!?」
——おっとぉ。
なまじ「俺はタツミだ」としつこいくらい自分に言い聞かせてきたから、タツミという単語に過剰反応してしまったな。
声をかけてきたのはショートカットの小柄な若い女だった。ポカンとしている。
「あ、ごめん。びっくりさせたかな」
「いや、俺の方こそ悪かった。……カタオカ、ユリコ?」
頭の中からヤツと関係する人間のリストを引っ張り出す。夢の中で断片的に拾った記憶のつなぎ合わせだから心許ないが、確か同じ学校に通う人間で、家も近所だったはずだ。
っていうか「片岡百合子」って、ヤツのガールフレンドじゃなかったか!?
嘘だろー……。確か今は「春休み」とかいう長期休暇期間で、知人に会う確立が低い時期だから安心してたんだが。
俺もヤツと同じで、こっちの人間関係をきっちり把握してるわけじゃない。休みの間に電話などで間接的に確認し直しておく予定だったんだが、いきなりこんな濃い間柄の人間と出くわすとはな。
エリス似のカワイイ子だから引き継ぐのは構わないんだが、さぁて、どうしたものか。
「休みは滅多に外に出ないのに、珍しいね」
俺が思考を巡らせる間に、彼女は疑いもせず寄ってきた。それからふと首をかしげる。
「さっき『オレ』って言った?」
ヤツの一人称は『僕』だっけか。いいや、のちのち面倒だからここで変えちまえ。
「ちょっとイメチェン。おかしいか?」
「う…ん、正直、違和感はあるけど。まあ、その方が取っ付き易いからいいんじゃない」
なんだか歯切れの悪い言い方だ。彼女的には「僕」の方が好みなんだろう。
「それよりもさ! ヒマしてんなら付き合ってくんない?」
ユリコは話題を切り替えるようにパンっと手を合わせた。さっそくデートktkr!
この際うまく誘導して、あちこち案内させるのも手か。
「いいよ。どこに?」
「ガッコ。昨日の補習ん時に、教室に携帯忘れちゃって」
やっぱ落ち着かないのよねえ、と苦笑する。なんだ、デートじゃねえんかよぉ。
でも学校なら本や資料も豊富だろうし、この世界のことを調べるには丁度いいか。
そこに行けば例の、なんだっけ、調べ物するのに便利な……「インターネット」! あれも使えるだろうし。
そう、タツミの家にはインターネットがない。俺の夢研究が正しければ、一六歳の少年が住む家には、当たり前にある設備のはずだが。
改めて考えると、タツミんちって、ちょっと変わった家なのかもなぁ。
なんて思って、俺はもう一度マンションを振り返った。
[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/7
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク