ハーメルン
征竜の決闘者、ヲ級を拾う
征竜VS月光艦隊

大海原の中にぽつんと存在する小さな島。
そのそばに集結していた深海棲艦の大艦隊は、今や壊滅の憂き目にあおうとしていた。

空を飛び回る黒い影。鋭角化したダンゴムシのような見た目をした深海棲艦の艦載機は、今やもう数十機しか残っていない。300機以上いた艦載機をたたき落としたのは、嵐そのもの。
当初太陽の見え隠れする明るい曇りだった空は今や暗雲に閉ざされ、時折稲光を発している。巨大な竜巻が空を移動し、巻き込まれた艦載機は例外なくバラバラのがらくたとなって海に落ちていく。そんな空模様の下、海上もまた炎と黒煙に包まれていた。
溶岩の様な見た目をした一体の竜が、光線の様な炎のブレスを放ち、艦種の区別なくその場にいる艦を葬っていく。低空を飛ぶドラゴンがなぎ払うようにしてブレスを放てば、全力での回避運動もむなしく、数隻の深海棲艦が撃沈されていく。頑強な装甲を持つ戦艦ですら、ブレスの直撃によって一撃で葬り去られていた。




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今岩山のような見た目のドラゴン、巌征竜レドックス君の下で縮こまっている僕は、無人島で生活しているごく一般的な新米決闘者。強いて違うところをあげるとすれば、異世界転移したっぽいって所かなー。名前は竜然征谷(りゅうぜんせいや)。

等と頭の中で冗談を言っている俺が推定異世界転移したと思われるのは、もう三ヶ月も前の話だ。
この無人島で気づいた俺が持っていたのは、デッキとデュエルディスクだけだった。
断っておくが、俺はアニメの世界の住人じゃないし、特別な力を持った存在とかでもない。紛れもなく一般人だ。遊戯王だって正直そこまで詳しくない。そんな俺が気づいたら知らないところにいたのだら混乱するに決まってる。
しかし初めのうちは混乱していた俺を平静にさせたのは、何を隠そうデュエルディスクだった。普通に考えたら意味不明な状況でも、遊戯王だと考えれば何もおかしくはない。そう、世の中の多くの不可解な現象は、遊戯王だからの一言で解決可能なのだ。
世界は誰が作ったのか?とか、人間は死んだらどうなるのか?等と言った、人間が抱く知りようのない疑問に対し、答えられることが優秀な宗教には求められるという話をどこかで聞いたことがある。そう考えれば、遊戯王は優秀な宗教であると言えるだろう。
困ったことがあったら何でも光の創造神とかドン千とかのせいにしておけば、大体解決!そう言う心境に至った俺は、軽いノリで無人島生活をエンジョイしていた。

現在地不明、何故ここにいるのかも不明、帰る手段無し、一人きり。このモンスター実体化能力がなかったら絶対とっくに死んでる。何故一般人の俺が普通に無人島で生きていけるかと言われれば、モンスターを実体化させているからだ。
当時の俺、左手に装着したデュエルディスクから、カードをドロー。俺が引いたカードは、カンコーン!!デブリドラゴン!青っぽい白(銀?)色をしたスリムな体格の星4ドラゴンである彼に乗って、俺は空を飛んだ。
そうして自分がいる場所が無人島だと知ったわけだが。小さな島ではあるが、人間一人くらいいくらでも生きていけるだけの十分な広さがあり、木の実や獣、魚をとってすごした。そうやって生活しながらもデッキとカードの仕様を探った俺。一ヶ月の生活で分かったことは色々ある。

まず、俺が持っていたデッキは征竜をメインにしたごちゃ混ぜデッキだ。でもデッキとしては征竜が入っているだけの紙束だ。メテオドラゴンとか光の角とか時代が違いすぎるカードが入ってる。それどころか命の砂時計とかミリスレディエントとかどこから突っ込めば良いのか分からないカードまで入ってる。

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