第壱章 何もないといいけど(フラグ)
「…本当にどうしよう」
「お、おい!どうするんだ!早く救けてくれよぉ!?」
無事に救助対象を保護したセシル一行は帰還するために十七階層に居た。しかし、真っ直ぐ行けば十六階層なのに、足止めを喰らっている。
「これがフェイ殿の試練…!これを乗り越えなければカレン殿を渡さないというこですか!」
「フェイ様は相変わらずのドSです…!しかし、そこがいい!」
軽口を叩く二人には余裕がない。引き返そうにも退路を塞がれた。先程まで一緒に戦っていた冒険者は全員逃亡したのだ。一人だけ、突破した冒険者がいたが、援軍を呼んできてくれるか怪しい。
目の前には口元に笑みを浮かべるゴライアス。人を痛めつけることに喜びを見出している。明らかに異常種だ。
だからと言って、立ち止まる理由にならない。
「気張るよみんな!」
「「了解!」」
「ちょ、ちょっと!?まさか戦うんじゃないだろうな!?僕は貴族だぞ!怪我させたらパパが黙ってないぞ!」
(((なら冒険者になるなよ…)))
心の中でツッコミを入れる。
取り敢えず喧しいので手刀を落として眠らせた。
(生きて帰ったらフェイ君を殴ろう)
誓いを胸に彼女達は冒険をする。
~~~~~~~~~~
現在は、荷下ろしの真っ最中。
固定で販売している物、週替わりで販売している物、気まぐれで販売している物があり、特に後者が良く売れるので、荷下ろしをしておかないといけないのだ。
一緒に作業していたカレンが口を開く。
「彼女達は大丈夫ですかね?」
「大丈夫だよ」
「比較的高レベルとはいえ、即席パーティですよ?しかも、救助依頼だと難易度は変わってきます」
「索敵が出来るマルタがいるし、中層のモンスターと互角以上に渡り合える灯火だっている。それにセシルさんはLv.4の冒険者だ。十八階層までなら余裕で攻略できる、バランスが良いパーティだよ」
今考えても最高の采配だ。不安要素はサポーターが不在なだけだ。
「貴方が言うなら大丈夫なんでしょう。階層主が現れる時期と被りますが」
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