第零章 ご紹介!
とある一室。
オラリオの冒険者を指揮する全権を委ねられた勇者と、その仲間達がそこにいた。
「件の少年は、あの『静寂』のアルフィアを従業員としてご所望か」
「驚きなのは、神アストレアがそれに賛同している点だな」
面会の真の目的は敵の情報を抜き出すことだが、あまり期待していなかった。結論としては、
『フェイ・ハーグは、私という絶望を何も聞かされてない状況で乗り越えたぞ?ならば、お前達に出来ない道理はないだろう』
一種の挑発を伝言として残しただけであった。フェイは「?」を頭に浮かべて、アストレアは正面から受け止めた。
この面会は、アルフィアを勧誘(結果は保留)し、アストレアという後ろ盾を得たフェイの一人勝ちだろう。
机の上に置かれている指輪を、ガレスとリヴェリアは眺める。
「あの坊主は初対面の儂等を上手に使いおった。中々のキレ者じゃ」
「そうだな。相手の力量を見極めたうえでの行動だった。撤退しなかったのは、三人で勝てると踏んだからだろう」
副団長二人から高評価を貰うフェイ。
「彼の奇行ともとれる行動には、何か理由があってのことなのかな?」
「かもしれないな。我々が思いつかないような発想をするあの子のことだ。何もおかしくはない」
「お?リヴェリアお母さんは親バカでもあったんか?」
「誰がお母さんだ!まあ、アイズよりは聞き分けよさそうだが…」
「アイズと同年代のこの少年なら、良き友になるんじゃないか?」
「他のことに興味を示してくれるのなら大歓迎だが…」
「なら会わせてみようか。【アストレア・ファミリア】に聞いてみるよ」
こうして会議は終了した。
フェイとアイズがどんな化学反応を示すかは、誰にも予想出来ない。
~~~~~~~~~
場面は変わる。
「紹介するわ。今日からここで住むことになった…」
「ふぇ、フェイ・ハーグです!魔道具を作って店を出すことを目標としてます、よ、よろしくお願いします!」
アストレアに連れて行かれた場所は、彼女の眷属と生活する拠点。
恩恵を授かったことで、【ガネーシャ・ファミリア】の保護下から離れて、【アストレア・ファミリア】の所属になったのだ。
「よろしくね、フェイ!何かあったらこの、完璧美少女のアリーゼお姉ちゃんに任せなさい!」
「あ、はい」
「まさかの塩対応!?」
「この馬鹿は置いておいて。フェイ、と言ったな?」
「そうですが…」
「あたしはライラだ。戦闘用の魔道具もあるんだよな?」
「そうですね。ダンジョンのモンスターにどこまで通用するか分からないですけど、攻撃もあれば牽制の魔道具もあります。基本、使用者の魔力量で威力が変わって来るのでランクアップ?を経験した冒険者なら十全に扱えると思います。それから―」
「なるほどな。なら、小細工を得意とする私にあった魔道具を見繕ってくれないか?個人的には、こんな魔道具があれば嬉しんだが―」
「もちろんありますよ!なんなら、ライラさん用に調整してお渡ししますよ。どこかで試し撃ちが出来たらいんですがね」
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