第壱章 招集?僕、何かした?
“フェイ・ハーグは森羅万象、ありとあらゆるものを見通せる”
“敵対した者は、何らかの方法で忠誠心を植え付けられる”
“彼に褒められた者は大成出来る器を持っている”
“頭脳は全知全能の神々と匹敵する”
オラリオに流れる噂である。
否定するのは新人か、大馬鹿野郎くらいだろう。
なぜなら、
彼と行動を共にした者は、全員肯定しているからだ。
※本人は無自覚です。
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夕方になり仕事が一段落した頃、カレンが手紙を持って話し掛けてきた。
「フェイさん、ギルド長から招集命令です」
「断っておいて」
「不可能です」
「…召集の理由は?」
「要約すると『魔石とドロップアイテムをこちらに回せ。第一級冒険者なんだからダンジョンへ行け。配下の奴らの手綱を握っておけ!』です」
う~む、困った。
魔石やドロップアイテムは魔道具製作に必要なんだよなぁ。でもいいじゃん!ゴブリンやコボルトのドロップアイテムはそっちで換金してるし!
僕に死ねと申すか?たしかに僕は第一級冒険者だよ?でもね?魔力極振りなんだよ。他は紙に等しいんだよ。自衛のためにあの二人に育てられたけどさ。僕が行けるのはせいぜい十八階層まで!以上!
配下の奴らは僕の魔道具目当てで、わざわざ派閥連合なんて同盟結んで攻めてきた人達のことだ。当時Lv.2で、最強の二人は帰省かなんかで留守だったんだ。認められた援軍はリューさん一人だけ。奇跡的に勝利したら、「あなた様の手下にしてくれぇ!」と頭を下げられたから、OKした。よくダンジョンで暴れて、戦利品を献上してくる。チヤホヤされるのは悪い気しないし(本音)。
「カレンが代わりに行ってくれない?ほら、こう見えて僕って忙しいし?」
「どう見たって暇じゃないですか…」
「…分かったよ。気分が乗らないけど、拒絶反応が起きてるけど行くよ。ギルド長に会えば、死んじゃう呪詛に患ってるけど行くよ」
「そんなに行きたくないんですか?」
「あのエルフなのにオークみたいなギルド長、怒るとすっごい怖いじゃん。あのエルフは絶対人殺してるよ」
「…言い過ぎです」
気が乗らないけど、ここは一つ頭を下げるか。
カレンに見送られながら、夕日をバックにギルドへと足を運んだ。
~~~~~~~~~~
「おいあれ!」
「『製作王様』!?なんでギルドに」
「あの男の考えは、俺達が理解することは不可能」
「「「恐ろしい男だ…」」」
あちらこちらから、僕の噂話が聞こえてくる。
『製作王様』は第一級冒険者になった僕の二つ名である。その前までが『製作者』。なんの捻りもない。
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