この先、王朝があるぞ
「それで、代わりに私は何をすればいい」
「一つ目はここの存在を誰にも言わない事。円卓勢力は勿論他のデミゴッド勢力や火山の蛇共、大いなる意思を名乗る指共にもね」
指共、という表現に多少の引っ掛かりを覚えたが、褪せ人は特に何も言わず続きを促した。
「二つ目はデミゴッドを倒して得た大ルーンを私に見せる事。だからこそなるべく多くのデミゴッドを倒す事を目標としてもらう。まぁこれは既に円卓で言われてるだろうから並行して考えて良いでしょ」
見るだけでいいとは妙な事を言う。エルデンリングの破片を複製出来る訳でも無し、何が目的なのだろうか。
「そして三つ目。どこかに消えた大ルーンを探す事。私が知る中で一つだけ現在地の不明な大ルーンがある。それの残滓でも構わないから見つけ出して私に見せる事」
大ルーンが行方不明? それではエルデンリングを完全に修復する事が――いや、それは元より不可能か。だが王を目指すのならばいずれにせよ探さねばならないか。
「後はまぁ、ついでだけど強い奴の血を私に献上してくれればそれも貢献度として数える位かな」
ふむ、ふむ。なるほど。
褪せ人は暫く考え、己のすべき事に相反する物は無いと判断した。
「分かった。貴公と誓約を結びたい」
「んふふ、ありがとね。じゃあ君はそのまま右手を出して?」
祭壇から軽い足取りで駆け寄ってきたモーグは、褪せ人の手を取って厳かに口を開いた。
「汝、我が血を供に狭間の地を往き給え。汝は我らが未来を手繰る血の指に非ず、狂える黄金を正す血の眼なり。世界を見よ、王を見よ、神を見よ、己が歩むべき道を見よ」
神の如き清廉さと噎せ返る程の血の匂いを漂わせながら、モーグの言祝ぎが血の文字となって紅い秘文字の指環に取り込まれていく。
それを見た褪せ人は何故か安心感を覚える。
祝福の褪せたこの身に少しばかりの温もりが宿った気がした。
「――これで君は血の指では無く血の眼となった。期待してるよ、褪せ人君? 私の探し物、血眼になって探して来てね♡」
モーグは悪戯っぽい笑みを浮かべ、楽しそうにそう言った。
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