ハーメルン
白髪の少女
白髪の少女

鳥の声が部屋に響く。カーテンから漏れた光が少女にあたる。少女は何か不快なような顔をしながら顔にかかった神々しいほどに白い髪を払い退け、体を起こし、カーテンを開ける。空は昨日の雨を忘れさせるかのような快晴であり、鳥は青空に取り残されたように残る月に向かって飛んでいたが、桜の花と葉によって彩られた街はまだ眠っているかのように静かで、黒く濡れたアスファルトの上を移動する人は見受けられなかった。少女は何秒かその景色を見ていた。不意に光が目に入った。屋根から反射したのであろうその光は、未だ眠気の抜けきっていない少女の眼を容赦なく照らした。少女は不機嫌そうに眼を細め、窓から離れ黒を基調とした制服へ着替えた。
 
着替えが終わった頃には幾分眠気や不快感はとれたのであろう。深い湖の色を少し希釈した青紫の水晶のような眼は開かれ、眉間によっていた皺は幾許か薄くなったように思われる。少女は手短に朝食を済ませ、、朝食にかかった時間の数倍の時間をかけて髪の手入れをした。そして何か緊張をしているかのような趣きで家のドアから出ていった。


少女はスマホと周りの景色を何度も見比べながら鳥と犬の声が聞こえ、道に落ちた桜の花を踏む足が増えてきた道を歩いていた。目的地である大きい絹漉し豆腐を数個くっつけたかのような学校が少女の目に入った頃、前を走っていた黒い車が突然黒板を爪で引っ掻いたかのような音を響かせたかと思うと、
太鼓を叩いたかのような音と共に少女と似た服装の少年が茶色いものを抱えながら道を転がるのが見えた。黒い車からまるでプールサイドで数時間ほど寝ていたのではと感じられるほど顔に水滴をつけた男性が降りてきてあたふたとどこかで電話をしていた。少女は数秒ほど唖然とした表情でその光景を見ていたが急に周りを見渡し、スマホを確認したかと思うとすぐに脇道へ逸れ、何事もなかったかのようにまた歩き始めた。


少女が学校に着いた頃はまだ街と同じように此処も静かであったが、少しすると少女と同じ服装、同じような顔をした少年少女達が集まり始め思い思いに過ごしていると、初老の男性が現れ全員を違う場所へと連れていった。着いた場所には少女が始めにいた場所よりも多くの人がおり、騒がしかった。目立っているのは金髪の笑顔以外の表情を忘れてしまったかのような少年。金髪の頭が軽そうな少女、そして少女の三人である。頭の毛が後退を始めた男性が少女達よりも一段高い位置に現れると、先程の喧騒嘘のように静かになり、皆退屈そうに男性と黒髪のおさげの少女の話を聞いた後また、元の場所へと戻された。

教室ではみんな自身のことを紹介し合い、その後退屈な授業が始まった。1日を終える鐘が鳴り響いた後少女は自身の家へと帰っていった。

最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/1

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析