ハーメルン
寝取られゲーに転生したけど、性別反転したせいでただのハーレムになってる
第4話 体育教官室の用途
入学からはや十日。
当初の警戒とは裏腹に、俺の学園生活は非常に穏やかだった。
「ゆーちゃん、はい。これお弁当」
「わあ、ありがとうハルちゃん」
昼休みはゆーちゃんといっしょに教室で。今日は瀬名さんもいる。
当然お弁当は俺のお手製。卵焼きは彼女が好きな甘めの味付け。
ピーマンの肉詰めは豚ひき肉を使い柔らかく仕上げ、今が美味しい鰆の塩焼きも添える。
サラダは嫌がられても入れるよ、野菜は重要。
ちなみに俺はご飯にふりかけはかけない派、海苔が歯にくっついちゃうのはよくない。
「うん、おいしー。ほんと、なんでピーマンがこんな絶品なんだろう」
「そいつはなにより」
ゆーちゃん野菜嫌いだからね。
ドライカレーに刻んだナスやトマトを入れたり、サラダもドレッシングに工夫したりと色々趣向を凝らしている。
今回のピーマンの肉詰めは会心の出来だ。臭みを消すためにちょっと香辛料の配合を変えてみた。
「いやー、ハルキくん相変わらず料理上手だねー」
瀬名さんがうんうんと頷きつつ、ちらりと横に目を向ける。
「というか? お弁当作るのもハルキくんなんだね?」
うっ、とゆーちゃんが言葉に詰まった。
「まあ仕方ないさ。多田野家はパパママ共働きで忙しいからさ」
「そ、そう! そうなの、あはは……」
しかも長期出張が多い。一か月二か月家を空けるのはざらで、小さい頃からウチで飯を食う機会が多かった。
高校になっても入学式が終わった途端に両親ともにすぐ仕事。今度は半年ほど帰れないらしい。
なので俺がお世話するのは自然の流れなのだ。
「いや、優が家事覚えればいいだけだよね?」
「うう、ボク料理苦手だし」
「料理だけじゃなく掃除洗濯軒並み苦手でしょ。もうハルキくんがいなかったら生活できないよね」
「はい、その自覚はあります……」
わりかし辛辣な瀬名さん。
仲良いからこその遠慮のなさだ。
「いいじゃん、幼馴染なんだし。どうせ何年経っても一緒にいるさ」
かなーり願望込みだけど。
俺はいたい。できれば恋人とか、夫婦とかそういう関係になって。
「ハルちゃん……う、うん。そ、そうだよねっ」
「ふーん。ねえ優、そんなこと言ってていいのかなー」
「え?」
「だってさ、ハルキくん人気じゃん。まだ入学から十日しか経ってないのに、学園でも三指に入るイケメンって噂になってるんだよ?」
今度は俺が言葉に詰まった。
驚きとか喜びじゃない。春姫に与えられた“学園でも三指に入る美少女”に似た評価を聞いて、また嫌な予感が過ったのだ。
「運動も勉強もできて家事も完璧、甲斐甲斐しくお世話してくれるイケメンだよ? モテないわけないでしょ。そもそも中学でも結構な数告白されてるのに」
「で、でも、恋人作る気ないって」
「今までは、ね。どうすんの、ほら」
と親指で指し示す先には出部吉麗華さんがいた。
「あ、ハルキさ~ん」
目が合うとお手々ふりふりされたので、俺も手を振り返しておく。
外見ちょっと大人びた感じのおっとり美少女なのに無邪気。その上、手を振るだけでどことは言わないが大きな部分がプルプル揺れている。
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