ソノ悪意は過去にあり
「……ここは?」
どこかの路地裏で、一人の女性が目を覚まし、起き上がった。赤いメッシュの長髪をし、黒の上着に赤いスカートを履いた格好の彼女であるが、耳の辺りに赤く光るモジュールがついているのが特徴的であった。
彼女の名は『アズ』。通信衛星アークの使者として暗躍し、主亡きあとも概念となったアークの為に悪意を宿した人間やヒューマギアに力を与えて何度か人類を滅亡させようと企んでいた。
しかしその目論みはいずれも潰えてしまい、最終的にはリオン=アークランドに利用され、彼の手駒であるソルド達に射殺された筈であった。
だが何故か撃たれたはずの頭部は修復され、先程までいた場所とは明らかに違うところに倒れていた事に彼女は困惑していた。
「…!これは…」
ふと顔を見上げると視線の先に二つのアタッシュケースと幾つかのドライバーが転がっているのが見え、アズはそれに駆け寄った。
ケースの中身のうち、ひとつの中にはかつてより悪意を持った人間やヒューマギアに手渡していた大量のアークのプログライズキーの他にも幾つかのプログライズキーが入っていた。
もう一つのケースには、ZAIAスペックとレイドライザーが入っており、何故これがここに…と首を傾げるアズだが、地面に散らばったドライバーを見て顔色を変えた。
そこには複製した飛電ゼロワンドライバーが四つと、アークドライバーが転がっていたのだった。
「アーク様…!」
思わず駆け寄り、ドライバーを手に取るアズだが、ドライバーからは何の反応もなかった。そもそも破壊されたはずのこれが何故あるかまではわからず、不明点だらけであり、まずは情報収集を行う為、アズはアタッシュケースやドライバーを手に取ってその場をあとにした。
手頃なマンションの一室に目をつけ、そこにいた住人を殴り倒したあと、そこにあったパソコンにアクセスしたアズは驚くべき事実を知った。ZAIAエンタープライズや飛電インテリジェンスはおろか、ヒューマギアの名前すら存在しなかったのだ。それらからしてここは自分の居た世界とは違うと気づき、ならばと彼女は自身の演算能力を用いて様々なところにハッキングし、情報を集めていた。数十分程で情報収集は終わり、アズは一息ついた後、笑みを浮かべていた。
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