1日目 初めの日記
お勉強をすることは大事だって、シーグリッドが教えてくれた。だから、お勉強代わりに今日から日記をつけてみることにするね。
えへへ、実はね。リリィも少し、こうやって日記を書くのに憧れていたんだ。シーグリッドもシルヴァも恥ずかしがったり惚けたりするけど、みんなみんな、日記を書いたり記録を遺したりしているんだもの。なんだかとっても大人っぽくって、カッコいいなあって思っていたんだ。
……でも、どうしよう。いざ書き始めてみると、あんまり書くことが思いつかないの。リリィの……リリィのおねえちゃんたちとは違って、リリィは手紙を書いたことはないし、言葉もそんなにたくさんはしらない。みんなみたいに、カッコ良くは書けないかもしれない。
ううん、だからこそ。いっぱいいっぱい、何度も何度もたくさん書いて、みんなに負けないようにしなくっちゃ! それにリリィ、最初にお勉強代わりに日記を書くって書いたもん!
この日記はね、白の教区と崖の村の間にある崩れかけたお家で見つけたの。見た目はちょっとボロボロだったけど、中は意外ときれいで、じーっと見つめていたら、『その日記帳も、使ってもらったほうが嬉しいだろう』……って黒騎士が言うから、ホントはダメかもだけど貰っちゃった。
……リリィの初めての宝物、になるのかなあ。みんなとの冒険を、これから毎日寝る前に書いていこうと思うの。悲しいことも辛いこともたくさんあるけれど、この日記に楽しいことやみんなのことを書いておけば、きっとこれからも頑張れるだろうなって思ったんだ。
だからね、これはリリィの秘密。リリィだけの秘密の日記帳。いつかみんなに見せて、驚かせちゃうんだから!
……こんな感じかな? 最初の日だし、いきなり頑張りすぎるのも良くないよね。
うん、リリィ、頑張った! 今日はこの辺で、おしまい!
▲▽▲▽▲▽▲▽
リリィへ。
まさかお前が、そんなことを思っているとは考えすらしなかった。私もあまり学がある方ではない──むしろ、こういうのはイレイェンやユリウスの方が向いていると思うが、ともかく私でよければいくらでも協力しようと思う。
さしあたって、いくらかのスペルミスがあったのでチェックを入れておいた。まだ書き始めたばかりだからしょうがないかもしれないが、少々数が多いのでこれからは注意してほしい。
また、ペンの持ち方もあまりよろしくない。大人になってから直すのは苦労するから、今の内からちゃんとした持ち方を練習しよう。レディたるもの、ペンの一つくらいは上品に持てないと、な。
最後に。
秘密の日記なのは理解したが、日記を首なしの騎士の鎧の中に隠すのはやめなさい。というかいったいどうやったんだアレ。彼、夜の間ずっとシクシク泣いていたぞ。首が無いからよくわかんなかったけど。
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