ハーメルン
えんだーりりーず! ~リリィの秘密の日記帳~
10日目 リリィの嫌いなもの


 今日はみんなで禁域と呼ばれるところを探索し……ようとしたけど、あまりうまくは進みませんでした。

 禁域は穢れでいっぱいです。普通にしているだけでもかなり苦しいし、とびきり穢れの濃い所ではファーデンさん特製のマスクが無いと息をすることもできないです。こんなところに研究所を作ったファーデンさんは、ちょっとその……不思議な人だと思います。

 ちょっと話が反れたけど、ともかく禁域はとても危険な場所です。リリィやみんなは最強だから大丈夫だけど、普通の人は近づくだけでも危ないです。

 なにより……あの、おっきいお肉のお化け! あれがリリィ、すっごくヤなの!

 もうね、リリィよりずっとおっきくて……! ゲル爺よりも大きいんだよ!? しかもブクブクに膨れたお肉なのにカサカサ動くし! なんかすっごく速いし! 動きが本当にキモチワルイの。

 禁域はそんなお肉のお化けがたくさんいるのでリリィは嫌いです。大きいから倒すのも時間がかかるし、攻撃だってすっごく強いし……。しかもそんなのが何十匹もいるんだもん……。リリィじゃなきゃ泣いてたよ?

 あれは穢者……であっているのかなあ? 毒を吐いたり手でびたーんっ! ってやったり、かと思えば体からにょきっ! って棘を生やしたりするし。他の穢者はまだ生き物って感じがするけれど、あのお肉のお化けはそんな感じが全然しない。もっとこう、ルールからかけ離れた別の何かって感じがする。

 ……やっぱり早く、穢れをなんとかしないと。あんなのが今でも生まれ続けているだなんて耐えられない。リリィには直接アレをどうにかすることはできないから、せめてできることだけでもやらなくちゃ。

 今日はちょっと、本当に疲れたからここまでにしておくね。

 リリィ、頑張った! 今日はこの辺で、おしまい!


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 旅をしていて困ることがいくつかある。その最たるものが穢者の呼び名だ。

 今更語るまでもないだろうが、穢者は実に多種多様で様々な姿、能力、特性を持つものが確認されている。正確に数えたことは無いが、我々が頻繁に遭遇し、容易に判別できるものだけでも三十種類ほどはいるだろう。

 例えば旅の途中で自分が真っ先にその穢者を発見した時。例えば休憩時にそこによく出る穢者への対応方法を相談する時。

 もっと言えば、その穢者について呼称する必要がある時──穢者の名前が無いというのは実に不便で、由々しき問題だ。

 「騎士」、「弓手」あたりは別にいい。見たままだし、それ以外に形容のしようがない。「兵士」、「弓使い」と多少表現のブレがあったとしても、何を指しているのかは簡単にわかる。というか実際、そのあたりは我々の間でかなり呼称のズレがある。

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