ハーメルン
えんだーりりーず! ~リリィの秘密の日記帳~
3日目 果ての国の外には


 昨日あれだけ言ったのに、黒騎士がまた日記に色々書いている。……もしかして、黒騎士も日記を書きたかったのかなあ。言ってくれれば、ちゃんと書かせてあげたのに。

 今日はみんなで、魔術協会の方に冒険に行きました。あそこはたくさんお水があるから、移動するのも大変だけど、リリィは泳ぐのも結構好きなので、実はとっても楽しかったです。すいーっ、すいーって動くのは、シーグリッドやシルヴァの翼で動くのともまたちょっとちがって……。

 ええと、こういうのはなんて表現すればいいんだろう? 上手く言葉にできないのが悔しいなあ。今度、シーグリッドにちゃんと教えてもらわないと。

 そうそう、たくさんのお水と言えば、この国の外には海っていう、すっごくすっごく大きな水たまりがあるんだって商人さんが教えてくれたの。しかも! そのお水はただのお水じゃなくって、すっごくしょっぱいんだって!

 目の前が全部しょっぱい水たまりだなんて、信じられないなあ。どこまでも続く景色って、いったいどれだけ素敵なのだろう? 魔術協会の……この前休憩したところとかは、綺麗に輝くキノコとかお花があるからすごく素敵な景色だと思うけど……。一体どっちが凄いのか、想像がつかないや。

 リリィもいつか、海を見てみたいな。それで、みんなといっしょにたくさん泳ぐんだ。商人さんの話では、海には怖い穢者もいないらしいから、きっとみんな楽しめると思うの。それに、お野菜をいーっぱい持って行けば、みんながおなかいっぱいになれるほどのスープも作れちゃったりして!

 ……その時は、黒騎士やユリウスおじさんの鎧や兜を脱いだところ見られる、のかな? さすがにご飯の時や泳ぐときは脱ぐ……よね?

 うん、日記を書くのにも慣れてきたかも? リリィ、今日も頑張った! 今日はこのへんで、おしまい!

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 リリィへ。

 日記の隠し場所がミーリエルのおなかからイレイェンの帽子の中に変わったことは、すごくいいと思う。称賛されるべき行いだ。

 ただ、できればもう少しだけ配慮というものが欲しかった。『どうして私じゃなくてイレイェンなの……ッ!!』ってバチクソにキレたシーグリッドが私の背後に立ち、凄まじい形相で私がこの文章を書くのを見つめている。

 できればどうか、次の晩はシーグリッドのベールの中に日記を隠してほしい。隠し場所としてはあまり相応しくないのは承知の上だが、そうしてくれないと、私が次の晩を無事に乗り切れる保証がない。



 ──私はまだ、おじさんと呼ばれる年ではないと思う。

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