ハーメルン
えんだーりりーず! ~リリィの秘密の日記帳~
9日目 みんなでドライブ


 馬車でそのまま突っ込む……? いや、無理だ。巨躯を持つ穢者は珍しくもない。そうでなくとも穢者は尋常ならざる怪力を持つものが多いし、馬車くらいであれば簡単に止められてしまうだろう。

 そして、遠距離攻撃をしてくる穢者も多い。道を歩ているだけで本当に泣きそうなくらいに集中放火される。

 ……えっ? あの御者、それなのに普通にこの危険地帯を行き来してるのか?

 どんな場所であっても必ずやってくるというその行動力。おそらくは穢者を倒している(あるいは回避している?)その対応力。そして何より、それを今まで私たちに悟らせすらしなかったという御者としてのプロ意識。

 もしかしたら、私たちの中で一番強いのはあの御者なのかもしれない。もう新しい場所の探索はあいつに任せた方がよくない?

 おっといけない、忘れる所だった。

 リリィへ。

 実験体の壺の中に日記を隠すのはやめなさい。というか最近、日記を書くのよりも隠すほうが楽しくなってきてないか? 日記はかくれんぼのための道具じゃないということを、忘れないようにな。



 ──確かに御者殿は謎だらけだな……。影に潜んで確実に事を成すその実力、暗部に欲しいくらいだ。

 ──そう言えば彼、昔から影が薄かったような。たまにグローア様と話しているのを見たけど、最初は御者の人だってわかんなかった。

 ──あの人、グローア様に想いを寄せていたから。グローア様に快適に過ごしてもらうためだけに、どんな道でも揺れずに馬車を駆れる腕を身に着けたんだよ。たぶん、万が一に備えて剣と弓も覚えていたと思う。穢者に堕ちても、それだけは忘れられなかったんだろうね。

 ──えっ、あの人妻子持ちじゃなかった? 聖職者として倒錯的なのはちょっと……。

 ──シスコンがいったい何を言ってるんだ?

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