新任教師の授業参観
リーマスを新しい闇の魔術に対する防衛術の教師として迎えた新学期。その最初の週ももう木曜日だ。
どういうわけか例年この教員は私の隣でな。今年は祝いの席で当然リーマスと談笑し、その仲の良さを存分に生徒たちにアピールをして来た。
まあ、そうは言ってもリーマスは誰に対しても愛想はいいし、私は誰に対しても無表情だ。しかもリーマスとは付き合いも長いので他の人に対してよりも私は自由に発言をさせてもらっている。
私がしれっとした顔でにこやかなリーマスから渡されたワイン瓶を受け取り、そのままパンプキンジュースの入ったゴブレットに注いでドヤ顔(リーマス曰く冷たい目で見下ろすような顔)する様と、リーマスの顔がひきつる(主にツッコミ的な意味で)様子はなかなか周囲からすると印象的だったらしい。
生徒たちも特に学年が上がるほど私の性格をよく知っている。そんな子たちからはなぜか「スネイプ先生は、ルーピン先生と仲が悪いんですか?」と恐る恐る聞かれる始末だった。
なぜだ。私は普通にリーマスがあいさつした時にぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺと小さく拍手を連打していたではないか。気難しい方のスネイプ先生なんて2、3回しかしていなかったので、逆に最大数を目指していたほどだというのに。
ああ、ワイン入りパンプキンジュースについてはちゃんと飲んだ。まあ、飲めないこともなかったが、いつかリーマスにも試させてみたい味ではあった。
さて、今日の午前中は三年生のハリーやドラコがいるクラスの授業だったのだが、我ながら普通に教員をしすぎて語るべきエピソードが何もない。おそらくこの辺りのエピソードであったであろう、ネビルのカエルに本人に作らせた薬で実験させるとか逆に面倒ではないか。
そんなわけで、いつも通り平穏に授業を終え、生徒たちと「また来週」とサ〇エさんのような決まり文句で別れ、午後は静かな職員室で書類仕事をさくさくと片付ける。
これまでの話からもわかるように一応私は仕事に対し真面目な性格だ。ただし、厄介な事を後回しにするという残念な癖も同時に持っていた。
そして、その時とうとう開きたくない封筒一通がトレイに残り、いやいや指先でつまみ上げる。上等な羊皮紙と、銀のシーリングはどうも見覚えがありありだった。
「でたな、ルシウス・マルフォイ氏……」
やだなーと思いながら、ミンククジラ型のペーパーナイフで封を切る。中を開き、一読してそっと閉じた。
内容はあれだ。先日息子さんが「魔法生物学」の授業で怪我をされたことに対する苦言への返信の返信だ。そう、実はすでに一度手紙を送っている。
“いろいろあるが、息子さんは少し悪戯が過ぎてしまった、それに我が校の校訓は「眠れるドラゴンをくすぐるべからず」ですよ”的な内容だっただろうか。
確かに今年度からハグリッドに変わってしまったことで起きたトラブルではあるかもしれないが、ドラコよ、なぜ君の性格であの授業をとったんだ。まずそれが疑問でしかない。
手紙用の羊皮紙を取り出し、羽ペンにインクを浸しながら文句を考える。
“ドラゴンの前に子どもを突っ立てないでほしい”と返されてしまったのだ。さて、どうすべきか…。
「『この危険に立ち向かう授業を選ばれたのはそちらのご子息の栄えある勇気ではありませんか。しかし私は今回の件はから騒ぎだと思いますよ』か…」
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