ハーメルン
【本編完結】レッドキャップ:ヴィランにTS転生した話
#27 ボンズ・オブ・モータリティ part6
振り返れば。
フィスクがノーマン・オズボーンを殺すように決めていたのは……彼がグリーンゴブリンになった直後だった。
オズコープ社と利権争いをしていたクエスト社、そこはウィルソン・フィスクの息がかかった軍事企業だった。
フィスクは賄賂や脅迫などで、この国の軍の正式装備として契約を掠め取るつもりだった。
そして、弱体化したオズコープ社を買収し、その科学技術を手に入れる予定だったのだ。
だが、その企みは追い詰められたノーマン・オズボーンがグリーンゴブリンとなり……クエスト社の重鎮を殺害した事によって大きく歪められる事となった。
最終的にオズコープ社は買収されたが……クエスト社の影響力も大きく落ちてしまった。
計画を歪められたフィスクはノーマン・オズボーンへの怒りを隠せなかった。
既に逮捕され、表社会から抹消された人間を殺すなど……無意味で無価値な事だ。
それはフィスクにも分かっていた。
だが、彼は相手に舐められたまま、不快な思いをしたまま、そいつがのうのうと生きている事が許せなかった。
キングピンは確かにインテリ系の
悪役
(
ヴィラン
)
だ。
だが、それ以上に『怒り』という感情に従順な
悪役
(
ヴィラン
)
でもあった。
逮捕され、超人用の刑務所に入れられたノーマンにはGPS付きの生体チップが入れられた。
オズコープ社の社長の逮捕、それは世間での話題性が強過ぎたため、迂闊に刑務所内で抹殺できなかったのだ。
だから、万が一。
万が一にも彼が刑務所から脱獄した時……見つけ出して殺せるように。
彼の位置が掴めるよう、生体チップを埋め込んだのだ。
私はマスクの位置情報表示機能を起動し、ノーマンの位置を表示する。
フィスクの所有する人工衛星から取得してきた情報が処理されて、マスクの中に表示された。
前方、100メートル。
視界に映るゴブリングライダー、そしてそれに乗るノーマン、グリーンゴブリンを視界に入れる。
右腕のクローフックを駆使して、それを追いかける。
そして、廃駅の上空にゴブリンが来た時。
私は太腿部からナイフを取り出した。
残念ながら、今私が持っている武器はこのナイフ一本だ。
前回、キャプテンアメリカやブラックウィドウと戦ってから、スーツの修復は間に合ったが……武器関係は用意出来なかったのだ。
散弾銃
(
ショットガン
)
とガンランチャーはあったが……今回のような追跡、暗殺任務では身軽な方が良い。持ってきていない。
よって私が持つ、唯一の武器。
炭素系特殊合金製ナイフを強く振りかぶり、ゴブリンの乗るグライダーへ向けて、投擲した。
ナイフは夜の空を引き裂き、グライダーのエンジンに命中した。
私の使用しているナイフは黒く、光を全く反射しない。
この光の少ない夜の空では視認する事すら難しい。
ゴブリンが何やら慌てているようだが、グライダーはそのまま地面へと滑空していく。
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