ハーメルン
【本編完結】レッドキャップ:ヴィランにTS転生した話
#3 ピーター・パーカー part1

私は今、クイーンズに来ている。

クイーンズ。
それはニューヨークの東部。
比較的大きな区画で、人口も多い。
勿論、活気もある。

あと、この世界で言えば……。


『スパイダーメナスは正体を現せ!法を守らぬ自警団気取りに鉄槌を!』


ビルの壁に作られた巨大な電子掲示板に、白髪の生えた初老の男が映っている。
アレは新聞社「デイリー・ビューグル」の社長、J・ジョナ・ジェイムソンだ。

今日も元気にスパイダーマンへのバッシング報道をしている。
いやぁ、お疲れ様です。

J・ジョナ・ジェイムソンはスパイダーマンにおいて、非常にメジャーなキャラクターの一人だ。
覆面強盗に家族を殺された過去を持っており、マスク姿でヒーローをしているスパイダーマンを目の敵にしている。

……ま、私は嫌いじゃない。
寧ろ、好きだな。
権力や圧力、世論にも負けず、自分の意志を通せる信念があって……。


はぁ、私とは大違いだ。
組織によって飼い慣らされ、自身の命が何よりも大事で、他人の命を無責任に奪い続けている。


憂鬱になりかけた思考を、頭から振り払う。



クイーンズ区。
ニューヨークの行政区域の一つだ。

そして、クイーンズと言えばスパイダーマン。
スパイダーマンの正体……ピーター・パーカーはクイーンズ出身だ。
だからなのか、この世界のスパイダーマンもクイーンズを主に拠点として活動している。
まぁ、ニューヨーク市内で悪役(ヴィラン)が出たら、いつでも駆けつけているけど。
この間も、ブルックリンで珍獣ハンターみたいな悪役(ヴィラン)と戦っていたし。

それはともかく。

何故、私がクイーンズにいるのか。
ヘルズキッチンのあるマンハッタンから離れているのか。

何者かによってヘルズキッチン内の私の拠点が爆破されてしまったからだ。
爆破されたのは……まぁ問題だけど、一番の問題は拠点を発見されて待ち伏せされた事だ。

偶然、私の拠点が発見された。
と考えるよりも何者かが私を探っているのだと考える方が正しいだろう。

私の所属している組織、『アンシリーコート』の指示によって、クイーンズまで引っ越して来たと言う訳だ。

……ま、同じニューヨーク市内だけどね。
あんまり離れすぎると、お仕事に支障が出るからね。


「よし」


私は窓を開けて息を吸い込む。

ん〜〜〜〜げほっ、排気ガスの味。

クイーンズは都会だ。
仕方ない。

今、私がいるのはクイーンズの端の方にあるボロアパートだ。
主に学生とか、一人暮らしのサラリーマンとかが住むアパート。
家賃も安い。

別に組織が金を持っていない訳ではなく、私のような隠れてコソコソやる人間はセキュリティの厳しい最新式のマンションよりも、薄暗くて人気の少ないボロアパートの方が良いと言う話だ。

ヘルズキッチンの時も同様の理由でボロアパートだったし。

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