ハーメルン
レッドキャップ:ヴィランにTS転生した話
バース・オブ・ブラック part5

コンクリートの壁に反射された光が、窓から差し込む。
このオンボロアパートは窓の外がすぐ壁だから……朝日が直接入ってくる事はない。

早朝なのに薄暗い部屋で、僕は欠伸をした。

ここはニューヨーク、クイーンズ。
そのアパートの一室。
僕、ピーター・パーカーの部屋だ。

パジャマを脱いで、シャワーを浴びて。
外出用の服に着替えて、髪をセットして。

リュックの中身を確認する。

前日に確認しているけど、出かける前にもう一度確認する。
心配症なのかも知れない。

時計を見て、8時少し前である事を確認する。

この時間、毎日はやる気持ちがある。
どうしても、そわそわしてリュックを背負い、部屋の外に出てしまった。

学校が凄く楽しい……訳ではない。
確かに勉強は嫌いではないし、授業も楽しいが……それだけで眠い朝から気分が上がる程でもない。

でも。

ガチャリ、と音がして隣の部屋のドアが開いた。

手元の腕時計を見れば、時間は7時54分。
約束の時間は8時なのに、いつも互いに少し早く出てきてしまう。


「おはよう、ミシェル」


声を掛けると、隣室の住人が目を数度開いて、閉じて……欠伸をしてから、返事をした。


「ん、おはよう……ピーター」


ミシェルは朝に弱い。
彼女はよく夜更かしをしている……当然、睡眠時間が削られれば、その分眠くなるのは当然だ。

僕もスパイダーマンとして活動した翌日は眠いからね。


「眠そうだけど……昨日、何かしてた?」

「……掃除?」


自信なさげに答える彼女は、やはり、どうやら寝惚けているらしい。

彼女と僕は毎朝、一緒に登校をしている。
ミッドタウン高校の始業時間は9時だ。
ここから高校までは歩いて30分……それを考慮して8時に出発予定としている。


「それじゃあ、行こう。ミシェル」

「……ん」


ミシェルは眠そうに目を擦りつつ、ベージュ色の肩掛け鞄を持って歩き出した。

普段は賢しい彼女の、こんな気の抜けた姿が見られるのは……きっと僕だけだ。
その事に少しの優越感と、大きな喜びと、幸せを感じていた。


二人でクイーンズの街を歩く。
途中、いつものサンドイッチ屋によってサンドイッチを買う。
僕は5番のBLTサンドイッチを。
ミシェルは7番のショートケーキを。
これは昼飯用だ。

いつもの風景、いつもの景色。

いつか、彼女と共に居る事も『いつも』と呼べるようになったら良いな……なんて大それた事も考えて。

街中の大きな電光掲示板を見た。

そこには、いつものJJJ……新聞会社『デイリー・ビューグル』の『ジェイ・ジョナ・ジェイムソン』が写っている。
彼は吠えるような強い口調でスパイダーマンをバッシングしている。

僕は何の気なしに視界に入れて……。


『スパイダーメナスは殺人鬼!?』


と言う見出しが見えて、驚愕で見直した。

僕が足を止めたのを見て、ミシェルが不思議そうな顔で僕の側に寄った。

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