第2話 人間です 多分 きっと めいびー
「はあ?なんで私が何かした前提なのよ?私の美貌に惹かれたんじゃないの?美しすぎるって罪よねー!」
向こうもこっちを見て好きに言っている。確かに美しいのは間違いないが。
どうもこの二人組が張り紙の上級職限定パーティーメンバー募集を出しているようだ。正直めっちゃ気になるペアなので、せっかくなのでパーティーに入れてもらえるか交渉してみようと思う。
「なぁ少年。上級職の募集をしているようだが――
「上級職の冒険者募集を見てきたのですが――
「あれ?」
「あれ?」
同じタイミングで声を掛けてしまった少女を見る。ややダウナーな雰囲気の赤い瞳に肩口くらいまでの黒髪、黒マント黒ローブ黒ブーツに黒トンガリ帽子に杖と、超正統派魔法使いスタイルの美少女だ。
「失礼。どうやら被ってしまったようだが、貴公も同じくパーティー募集を見てきたようでござるな。お先どうぞ」
「あっ丁寧にどうもです。……我が名はめぐみん!アークウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操るもの……!」
「えっそんな感じ!?……拙者の名はハザマ!ルーンナイトをさっき始めた、とにかく色々できる万能型イケメン侍……!」
「えええ……急に濃いのが二人も現れたんだけど!これはどっちから突っ込めばいいんだ……?」
どうやら自己紹介のインパクトに負けてスタンが入ったようだ。少年が頭を抱えて現実と戦い始めているのを尻目に、推定女神のアクア殿がめぐみん殿の方を向いて問う。
「その赤い瞳、もしかしてあなた紅魔族?」
「いかにも!我は紅魔族随一の魔法の使い手めぐみん!……優秀な魔法使いはパーティーにいりませんか?……そして図々しいお願いなのですが、面接の前に何か食べ物を恵んでもらっていいでしょうか……?もう何日も食べていないのです……」
「まぁいいけど。そっちの騎士みたいな人は……すごい変な魂してるわね?火の付いた闇鍋に針を刺して凍らせたみたいな魂してるけど本当に人間なの?」
「拙者の魂ってそんなんなってんの!?それ言われるまでは自信を持って人間だったでござるよ!」
いきなりの宣告に心底驚愕する。見た目は多少アレ目から火を噴き口からビームを吐くでも大事なのは心じゃよ!みたいな感覚で生きてきたのに、神的存在にお前の魂すっげーキモイな!とか言われては流石に人生を振り返ってしまう。火はともかく凍ってるのはラニ殿が何かしたのだろうか?多分加護的なものをくれていると信じたい。
「あー、とにかく二人ともパーティーの募集を見て来てくれたってことでいいんだよな?俺はカズマ。こいつはアクアだ。飯を食べながらどうするか話し合おうぜ」
Tips:魔術『内から見える兜』
夜の魔術のひとつ、『見えざる姿』を改変したもの
兜を内側からのみ透過し視界を確保する、分かりやすく実戦的な魔術
狭間の地で手に入れた、前が見えない頭防具への対策で生み出された
さらにこれを応用した、自らの衣服を一部透過する魔術『見えるチ○コ』が存在する
君、隠したまえよ
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